
Office 2021 のサポートが終わり、OutlookからThunderbirdへ移行するかどうか考え始めた方に向けて書きます。サポートが終わっても、Outlook がその日から動かなくなるわけではありません。ただ、セキュリティの更新はもう届きません。毎日開くメールソフトがその状態のまま、というのは落ち着かないものです。
乗り換え先に無料の Thunderbird を選ぶと、次に出てくる心配は「過去のメールやアドレス帳が消えないか」です。ここは使い方によって手間がまったく違います。メールがサーバーにあるのか、パソコンの中にあるのか。最初にここを分けると、やることがはっきりします。
先に結論:Gmail など IMAP で使っているメールは、Thunderbird にアカウントを設定し直せば同じメールが見られます。手間がかかるのは POP3 で受けてパソコンの中(PST ファイル)に溜めている場合で、PST のバックアップ → Outlook からのインポート → アカウント設定 → メールの移動 → 重複の片づけ、の順に進めます。
インポートは、Outlook が動いているパソコンの上で行います。Thunderbird で全部のメールを確かめ終わるまで、Outlook も PST ファイルも消さないでください。
OutlookからThunderbirdへ移行する前に。Office 2021 の終了で何が変わるのか
まず日付を確かめておきます。Microsoft のライフサイクルのページでは、Office 2021 のサポートの廃止日は 2026 年 10 月 14 日 6:59:59(ページの表記は太平洋時間)とされていて、今日の時点ですでに過ぎています。対象は家庭や小さな事業所でよく見かける Home and Business や Home and Student などの買い切り版です。
Office 2021 はモダン ライフサイクル ポリシーに従い、サポートの開始日は 2021 年 10 月 5 日、廃止日は 2026 年 10 月 14 日 6:59:59(太平洋時間の表記)。対象は Home and Business、Home and Business for Mac、Home and Student、Home and Student for Mac、Professional の各エディション。
出典:Microsoft Learn「Office 2021 – Microsoft Lifecycle」
サポートが終わったあとに起きるのは、更新が届かなくなることです。起動しなくなる、メールが消える、ということは起きません。だから慌てて今日中に何かをする必要はないのですが、メールソフトは知らない相手からのファイルを毎日受け取る場所です。更新の止まったソフトで使い続ける期間は、短いほうがいいと私は考えています。
用語:Outlook(classic)とは、昔からある Windows 版の Outlook のことで、メールをパソコンの中の PST ファイルに保存する仕組みを持っています。Office 2021 に入っている Outlook もこちらです。Microsoft が別に出している「新しい Outlook(new Outlook)」は見た目も中身も別のアプリなので、この記事の話はそちらには当てはまりません。
乗り換え先は Thunderbird だけではありません。Microsoft 365 のようにサポートが続く版に切り替える道もありますし、Gmail だけで済む人もいます。この記事は「Office を買い直さずに、無料のメールソフトへ移りたい」という人のための話として読んでください。

OutlookからThunderbirdへの移行が要る人・ほとんど要らない人
同じ「Outlook でメールを読んでいる」でも、メールがどこに置いてあるかで引っ越しの手間が変わります。分かれ目は、受信の方式が IMAP か POP3 かです。Outlook の「アカウントの設定」を開くと、アカウントの種類として表示されています。
用語:IMAP と POP3 とは、メールソフトがメールを受け取る方式のことです。IMAP はメールをサーバーに置いたまま見に行く方式で、どのパソコンやスマホからでも同じ受信箱が見えます。POP3 はメールをパソコンに取り込む方式で、取り込んだメールはそのパソコンの中(Outlook なら PST ファイル)に溜まっていきます。
| 使い方 | メールの置き場所 | 引っ越しの手間 |
|---|---|---|
| Gmail・Yahoo!メールを IMAP で | サーバー | アカウントを設定するだけ |
| プロバイダのメールを IMAP で | サーバー | アカウントを設定するだけ |
| プロバイダのメールを POP3 で | パソコンの PST | インポートと整理が要る |
| Webメールをブラウザで | サーバー | ほぼ要らない |
表のとおり、手間がかかるのは POP3 の人だけです。IMAP の人は、Thunderbird にメールアドレスとパスワードを入れてアカウントを作れば、サーバーにある受信箱がそのまま出てきます。何年分ものメールがパソコンの中にしか無いのは、POP3 の人です。この記事の後半は、主にこちらの人のための手順です。
Outlook に IMAP と POP3 のアカウントが両方入っている人もいます。その場合は、POP3 のアカウントだけが「中身を運ぶ」対象で、IMAP のほうは設定し直すだけです。
Thunderbird はどんなメールソフトか
Thunderbird(サンダーバード)は、Firefox と同じ Mozilla のファミリーのメールソフトです。Windows・Mac・Linux で使え、お金はかかりません。公式サイトには次のように書かれています。
Thunderbird は永久無料で、ユーザーの寄付によって運営されているオープンソースのソフト。Windows・macOS・Linux 向けに配布されていて、2026 年 10 月 16 日時点のダウンロードの版は 158.0。
出典:Thunderbird 公式サイト
無料で、広告も出ません。そのかわり、設定は自分で入れることになります。Outlook の設定画面を見られるうちに作業するのが楽です。
ここ、見落としがちです:「Thunderbird ダウンロード」で検索すると、広告や配布サイトがいくつも並びます。入れるのは公式サイト(thunderbird.net)からだけにしてください。似た名前のサイトから入れると、余計なソフトが一緒に入ってくることがあります。
Outlook(classic)から Thunderbird へ引っ越す順番
ここからは POP3 の人向けの手順です。順番は「保存してから動かす」。先に PST のバックアップを取り、それから Thunderbird に取り込みます。
手順1:PST ファイルのバックアップを取る
取り込みに失敗しても元に戻れるように、Outlook のメールを PST ファイルとして書き出し、USB メモリなど別の場所にも置いておきます。Microsoft のサポートページにある手順は次のとおりです。
- Outlook の「ファイル」を開き、「開く/エクスポート」から「インポート/エクスポート」を選ぶ。
- 「ファイルにエクスポート」を選び、「Outlook データ ファイル (.pst)」を選ぶ。
- 書き出すアカウントを選び、「サブフォルダーを含む」にチェックが入っていることを確かめる。
- 「参照」で保存先を決めて「完了」を押す。できたファイルを USB メモリなどにも写しておく。
手順の詳しい画面は Microsoft サポートの「Outlook のアイテムを Outlook データ ファイル (.pst) にエクスポートする」で確かめられます。
手順2:Thunderbird を入れて、Outlook から取り込む
取り込みの流れは、YouTube チャンネル「パソコン修理屋の豆知識」の動画「メール環境をOutlook(classic)からThunderbirdに移行しよう!」が画面つきで分かりやすく見せています。動画では、Outlook(classic)が入っているパソコンに Thunderbird を入れ、Outlook を閉じてから取り込んでいます。
動画の手順を文字にすると、Thunderbird のメニューバーの「ツール」から「設定とデータのインポート」を開き、「Outlook からインポートする」を選ぶ、という流れです。メニューバーが見えていないときは、キーボードの Alt キーを押すと出てきます。取り込みが終わると「インポート」というフォルダーができ、その下にアカウントごとのフォルダーが並びます。
動画では、IMAP の Gmail はデータがクラウドにあるため取り込みの対象にならず、取り込まれるのは POP3 のアカウントのメールだと説明している。
出典:メール環境をOutlook(classic)からThunderbirdに移行しよう!(パソコン修理屋の豆知識)
手順3:受信・送信サーバーを設定する
取り込んだだけでは、新しいメールは届きません。Thunderbird の「ツール」→「アカウント設定」から新しいメールアカウントを作り、Outlook の「アカウントの設定」の画面と見比べながら同じ値を入れます。名前やメールアドレス、サーバー名はコピーして貼り付けられますが、パスワードは Outlook の画面では伏せ字になっていてコピーできません。プロバイダから届いた設定の紙や控えを先に探しておいてください。
- メールアドレスと表示名
- アカウントの種類(POP3 か IMAP か)
- 受信メールサーバーと送信メールサーバー(SMTP)の名前
- 受信と送信のポート番号(「詳細設定」に出ている)
- ログインのユーザー名とパスワード(パスワードは控えから)
Thunderbird では手動設定を選び、受信のプロトコルを Outlook と同じ方式(POP3 の人は POP3)にして、サーバー名とポート番号を入れます。接続の保護と認証方式は、動画では自動検出のままで通っていました。入力が終わったら「再テスト」を押し、通れば次へ進めます。
メモ:動画の例では受信のポートが 110、送信が 587 でしたが、ポート番号と暗号化の方式はプロバイダや契約によって違います。動画の数字をそのまま写さず、自分の Outlook の「詳細設定」に出ている値か、プロバイダの案内に合わせてください。
手順4:メールを受信箱へ移し、重複を片づける
取り込んだメールは「インポート」フォルダーの下にあるので、これを新しく作ったアカウントの受信トレイへ移します。動画では、取り込んだ受信トレイで Ctrl+A で全部を選び、右クリックの「メッセージの移動」で移していました。送信済みや、自分で作ったフォルダーも同じように移します。
ここで、同じメールが 2 通ずつ並ぶことがあります。POP3 でもサーバーにメールを残す設定にしていると、Thunderbird がサーバーから同じメールをもう一度受け取るためです。動画では、Thunderbird の「ツール」→「アドオンとテーマ」から「Remove Duplicate Messages」という拡張機能を入れ、フォルダーを右クリックして「重複メッセージの削除」で片方だけをごみ箱へ移していました。
注意:重複の片づけが終わっても、すぐに Outlook を消したり PST ファイルを捨てたりしないでください。移したつもりのフォルダーが 1 つ漏れていても、Thunderbird の画面だけでは気づけません。古いメールを何通か開いて確かめ、しばらく Thunderbird で使ってから片づけるほうが安全です。
Thunderbird に移ってしまえば、次にパソコンを買い替えるときはプロフィールのフォルダーごと運べるので、PST のような変換は要りません。そこまで来れば、今回の手間は一度きりです。

うまくいかないときに確かめたいこと
つまずく場所は、だいたい「取り込めない」「受信できない」「数が合わない」のどれかです。作業のあと、次を順に見てください。
- 取り込みの前に Outlook を閉じたか(動画でも先に閉じてから取り込んでいる)
- 受信のプロトコルが Outlook と同じか(POP3 の人が IMAP で作っていないか)
- サーバー名・ポート番号・ユーザー名が Outlook の「アカウントの設定」と一字ずつ同じか
- パスワードが今も有効か(プロバイダの会員ページで変更していないか)
- 受信トレイ・送信済み・自作のフォルダーのメールの数が、Outlook とおおよそ合っているか
- アドレス帳(連絡先)が Thunderbird 側にそろっているか
「再テスト」が何度やっても通らないときは、メールアドレスを発行しているプロバイダの案内で、サーバー名とポート番号を確かめ直してください。以前に書いた Outlook から Thunderbird への乗り換えの記事も、考え方の参考になると思います。
Google のクチコミ(139 件・平均 4.9、2026 年 10 月時点)にも、出張サポートでメールの設定をした、という声が寄せられています。自分で進めて途中で止まったときは、パソコンを持ってご来店いただくか、出張で見せてください。

よくある質問
サポートが終わった Outlook 2021 は、もう使ってはいけないのですか?
すぐに動かなくなるわけではありません。ただ、サポートが終わったあとはセキュリティの更新が届かないため、不審なメールや添付ファイルを開いたときの危険が残ったままになります。Thunderbird などほかのメールソフトに乗り換えるか、サポートのある版に切り替えることを考えてください。
Gmail を使っている場合も、Thunderbird への移行作業は必要ですか?
Gmail のように IMAP で使っているメールは、Thunderbird にアカウントを設定すれば、サーバーにある同じメールがそのまま見られます。手間がかかるのは、プロバイダのメールを POP3 で受けて、パソコンの中の PST ファイルに溜めている場合です。
Thunderbird は本当に無料ですか?
無料です。公式サイトでは「永久無料」とされ、利用者の寄付で運営されているオープンソースのソフトです。ダウンロードは公式サイト(thunderbird.net)から行い、広告に出てくる似たサイトからは入れないでください。
まとめ
Office 2021 のサポートは終わりましたが、Outlook が急に使えなくなるわけではありません。乗り換えるなら、まず自分のメールが IMAP か POP3 かを確かめてください。IMAP なら Thunderbird にアカウントを作るだけ、POP3 なら PST のバックアップから始めて、取り込み、サーバーの設定、メールの移動、重複の片づけの順に進めます。
どの手順でも、古いほうを消すのは最後です。Thunderbird で古いメールが開けること、アドレス帳がそろっていることを確かめてから、Outlook を片づけてください。










