
「また落ちた。しかも今度は違うコードだ」——数時間おきにブルースクリーンで落ちるパソコンを前に、エラーコードをメモしては検索し、メモしては検索し、気づけばメモ帳が謎の16進数コレクションになっている。そんな経験はありませんか。0x3B、0x1E、0x1A……全部調べたのに、全部違うことが書いてある。どれを信じればいいのか、もう分からない。
白状すると、私も昔これをやりました。そして最後に選んだ手段が「初期化」です。原因は分からないけど、全部消せば厄も一緒に落ちるだろう、と。この「原因不明の不調に、とりあえず初期化で厄を落とそうとする行為」を、私はお祓い初期化と呼んでいます。
結果はどうだったか。直りませんでした。数時間後、まっさらなWindowsの上に、また青い画面。今日は、この「初期化しても直らないブルースクリーン」の話をします。よろしくお願いします。
初期化やクリーンインストールが直せるのは、Windowsの中身の問題だけです。壊れたシステムファイル、行儀の悪い常駐ソフト、ドライバ同士のケンカ。この範囲なら初期化は強力な一手で、私も仕事で普通に使います。
ところが、メモリチップの物理的な不良、電源ユニットの供給の揺れ、BIOSの不具合、CPUの電圧異常——このあたりはWindowsを何回入れ直しても、そっくりそのまま残ります。土台が傾いている家の、壁紙だけを貼り替えているようなものです。

ここで発想を切り替えます。コードがバラバラなのは、手がかりがゼロという意味ではありません。むしろ逆です。同じコードが毎回出るなら、特定のドライバやソフトが毎回同じ場所で転んでいる可能性が高い。一方、コードが毎回変わるなら、メモリ上のデータがランダムに壊れている——つまり土台側、とみるのが定石です。「毎回違う」こと自体が、犯人像を大きく絞り込んでくれるんです。
0x3Bにも0x1Aにも、それぞれ意味はあります。でもバラバラに出るとき、個々の意味を深追いしてもあまり実りがありません。エラーコードが教えてくれるのは「どこで倒れたか」であって、「誰が倒したか」ではないからです。倒れた場所の地名を5つ集めても、犯人の顔は見えてきません。16進数コレクションが増えるだけです。
バラバラなブルースクリーンの犯人として最も多いのが、メモリの不良や相性です。厄介なのは、常に壊れているわけではなく、熱や電圧の条件が揃ったときだけデータが化ける「間欠タイプ」が多いこと。犯行時刻以外は善良な市民の顔をしています。
供給する電気が揺れると、部品そのものは正常でもデータだけが化けます。経年劣化した電源は、負荷の変化や省電力への切り替わりのタイミングで不安定になることがあります。パーツ交換で調べようがないぶん、見落とされやすい犯人です。
「数時間おき」「何もしていないのに落ちる」という規則性は、省電力状態の切り替わりが引き金になっているサインのことがあります。Windows 11のモダンスタンバイ(S0スリープ)まわりで不安定になる構成は海外でも多数報告されていて、BIOS更新で収まるケースも珍しくありません。時計のように規則正しく落ちるなら、時計のように規則正しく動いている何かが絡んでいます。
そして、この記事を書くきっかけになった実例がこれです。
該当世代のデスクトップCPUをお使いなら、マザーボードメーカーのサイトで修正マイクロコード入りの最新BIOSが適用済みかの確認を最優先にしてください。この問題に限っては、メモリをいくら調べても犯人に届きません。

ここからは実務パートなので、ふざけずにいきます。順番どおりにやれば、犯人の輪郭がかなり見えてきます。

まとめます。毎回違うブルースクリーンは、手がかりゼロではなく、「犯人は土台側にいる」と教えてくれる大きなヒントです。エラーコードは倒れた場所の地名。地名を集めて検索し続けるより、メモリ・電源・BIOS・CPUの4人を順番に調べるほうが、ずっと早く着きます。
そしてお祓い初期化は、犯人が分かってからでも遅くありません。むしろ犯人を捕まえたあとの初期化は、お祓いではなく、ちゃんとした「大掃除」になります。伝えたいことは書きました。みなさんのメモ帳が16進数コレクションになりきる前に、この記事が届けばうれしいです。








