「INACCESSIBLE BOOT DEVICE」— 青い画面が出て、再起動が止まらない
朝、パソコンの電源を入れたら青い画面。「問題が発生したため、PCを再起動する必要があります」。停止コードは INACCESSIBLE BOOT DEVICE。……読めない。とりあえず再起動。また青い画面。もう1回。また青い画面。
この「次こそ普通に起動するかも」と信じて電源ボタンを押し続ける状態を、うちの店では勝手に「再起動ルーレット」と呼んでいます。ピシコの本田です。今日はこのルーレットを今すぐやめていただきたくて、この記事を書いています。よろしくお願いします。
先に結論
「INACCESSIBLE BOOT DEVICE」の多くは、ディスクの故障ではなくBIOS設定やドライバーが原因で、中のデータは無事なケースが目立ちます。
ただし本当に故障だった場合、再起動を繰り返すほど状態は悪化します。最初にやるべきことは対処法を試すことではなく、再起動の手を止めることです。
エラー名を直訳すると「起動デバイスにアクセスできません」。字面だけ見ると「ディスクが死んだ」としか読めませんが、Windowsが言っているのは「自分がインストールされている場所にたどり着けない」ということだけです。ディスクそのものは元気で、そこへ行くための地図(設定)や靴(ドライバー)が壊れているだけ、というパターンがかなりあります。迷子と行方不明は違う、というやつです。
店長より
店頭でも本当によくあるご相談です。青い画面を見た瞬間は誰でも焦りますが、「画面が青い=データが消えた」ではありません。まずは深呼吸を。
一番危ないのは、エラーそのものより「再起動の連打」
気持ちは痛いほどわかります。私もこの仕事を始める前は、調子の悪い機械はとりあえず再起動する派でした。電子レンジ以外はだいたい再起動で直ると思っていた時期が、私にもあります。
ですが、このエラーに限っては話が別です。原因が「設定やドライバー」なら、再起動しても状況が変わらないだけで済みます。問題は、原因が「ディスクの物理的な故障」だった場合です。
故障が原因の場合、再起動は追い打ちになります
弱っているHDDやSSDに通電と読み込みを繰り返させると、いま読み取れている領域まで読み取れなくなっていくことがあります。カチカチ・カリカリという異音、こげたようなにおい、本体の異常な熱。ひとつでも心当たりがあるなら、再起動せずに電源を切ってください。データの救出は、電源を入れた回数が少ないほど有利です。
再起動ルーレットの怖いところは、回すたびに当たりの枚数が減っていくかもしれない点です。そんなルーレット、カジノに置いてあったら暴動が起きます。回す前に、まず原因の見当をつけましょう。
主な原因は3つ
原因1:BIOSのストレージ設定(SATAモード)が変わった
パソコンには、ディスクをどの方式で読むかを決める設定(AHCI/RAID/VMDなど)があります。Windowsはインストールされたときの方式を前提に動くため、ここが変わると「地図が全部書き換わった」状態になり、ディスクが元気でも迷子になります。BIOSの初期化、マザーボードの内蔵電池の消耗、BIOSアップデートの後に起きやすい原因です。
原因2:ストレージドライバーの不具合
ディスクを読むためのドライバーが、Windows Updateや周辺機器の追加をきっかけに壊れたり、合わなくなったりするパターンです。「昨日までは普通に使えていて、アップデートの後から急に」という場合は、ここが本命です。後述する「更新プログラムのアンインストール」で戻せる可能性があります。
原因3:ディスク自体の物理故障
残念ながら、本当にディスクが弱っているケースもあります。前の章で書いた異音・におい・熱のサインがあるなら、このパターンを第一に疑って、通電をやめる判断をしてください。
ちなみに最近のノートパソコン(AcerをはじめとするIntel第11世代以降の機種に多いです)は「VMD」という仕組みでディスクを管理していることがあり、この設定とドライバーの組み合わせが崩れると今回のエラーが出やすい……という、なかなか渋い事情もあるのですが、これ以上はBIOS設定の沼にずぶずぶ入っていくので、この辺でブレーキをかけておきます。覚えて帰っていただきたいのは1点だけ。ディスクが無事でも、このエラーは出ます。
自分で試せる対処法(この順番で)
手順0:先にBitLockerの回復キーを確認しておく
対処に入る前に、つまずきポイントをひとつ先に潰しておきます。ここを知らずに進むと、修復作業の入口で足止めされます。
「回復キーの壁」で詰む方が多いです
Windows 11の多くの機種は、ディスクが「BitLocker(デバイス暗号化)」で保護されています。修復のために回復環境へ入ろうとすると、48桁の回復キーの入力を求められることがあります。スマホや別のパソコンで「aka.ms/myrecoverykey」を開き、普段お使いのMicrosoftアカウントでサインインすると確認できます。キーが見つからないまま初期化に進むと、データを取り出す難易度が一気に上がります。
回復キーの準備ができたら、次の4ステップを上から順に試していきます。どれもデータを消さずに試せる範囲です。
1
回復環境(WinRE)に入る
Windowsの起動に何度か失敗すると、青い画面ではなく「自動修復」「回復」という画面に切り替わるのが基本です。そこで「詳細オプション」を選びます。※異音がするなど物理故障が疑わしい場合は、ここで中断して電源を切ってください。
2
「更新プログラムのアンインストール」を試す
「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「更新プログラムのアンインストール」→「最新の品質更新プログラムをアンインストール」の順に進みます。Windows Updateの直後に起きたトラブルなら、これが最有力の一手です。
3
BIOSでSATA/VMDの設定を確認する
電源を入れた直後にF2キーやDeleteキーを連打してBIOS(UEFI)画面へ。ストレージ関連の項目(SATA Mode/VMDなど)を確認し、変えた覚えがないのに変わっていそうなら元の設定に戻します。操作の前に、いまの設定画面をスマホで撮影しておくと、迷子になったとき戻れます。
4
コマンドで起動情報を修復する
回復環境の「コマンドプロンプト」を開き、「bootrec /rebuildbcd」を実行して、Windowsの起動情報(BCD)を作り直します。古い解説によく出てくる「bootrec /fixboot」は、いまの機種(UEFI)では「アクセスが拒否されました」と表示されることが多いのですが、これは半ば仕様のようなものなので、出ても慌てなくて大丈夫です。
店長より
ここまでの操作は、データを消さずに試せる範囲です。逆に言うと、同じ画面に並んでいる「このPCを初期状態に戻す」は、データを消す側の操作。ボタンの距離が近いので、押し間違いにはくれぐれもご注意を。
よくある質問
Q
このエラーが出たら、HDDやSSDは壊れていますか?
A
必ずしも壊れていません。BIOS設定やドライバーが原因で、ディスク自体は無事というケースが多くあります。ただし異音・におい・異常な熱がある場合は故障の可能性が高いので、通電をやめてください。
A
原因が設定やドライバーであれば、データはディスクに残っている可能性が高いです。ただし初期化や再インストールを先に行うと消えてしまうため、大事なデータがある場合は、初期化の前に取り出すか、その状態のままご相談いただくのが安全です。
Q
何を試しても直りません。次はどうすればいいですか?
A
更新プログラムの削除・BIOSの確認・bootrecまで試して変化がない場合、ディスクの故障やもっと深い破損が疑われます。データが必要なら、初期化せず、その状態のままプロに見せるのが確実です。
それでも直らないとき — 「初期化」の前に一呼吸
回復環境の画面には「このPCを初期状態に戻す」という、いかにも押してほしそうなボタンがあります。実際、データが要らないならこれで解決することも多いです。ただ、店頭で一番切ないのは「初期化したら直ったんですけど、写真が全部消えちゃって」というご相談です。直ったのに、失っている。これほど悔しい直り方はありません。
プロに相談する場合は、次の5点を整理しておくと、原因の切り分けと復旧がぐっと早くなります。
相談前チェックリスト
✓
直前の心当たり(Windows Update・停電・持ち運び中の衝撃など)
✓
BitLockerの回復キーを確認できたかどうか
一次情報・参考資料
国内の専門解説でも、このエラーの原因は「BIOS設定」「ドライバー」「物理故障」の3系統に整理されており、本記事の切り分け順もこれに沿っています。Acerの公式コミュニティでも、同型エラー(0x7B)の相談が報告されています。
店長より
初期化は最後の手段です。「このデータ、要るかな」と1秒でも迷ったら、その迷いが答えです。ボタンを押す前に、一度ご相談ください。
最後にもう一度だけ。青い画面が出たら、ルーレットを回す手を止める。たったこれだけで、守れるデータがあります。再起動ルーレットは、今日で閉店です。
そのデータ、まだ間に合うかもしれません。
「INACCESSIBLE BOOT DEVICE」の原因の切り分けからデータ保全まで、パソコンの状態を見ながら一緒に進めます。初期化ボタンを押す前に、一度だけ立ち止まってください。
まずはご相談から
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