
Core Ultra 9 386Hのメモリ速度が上がった話
2026年の春ごろ、Intelがこっそりとひとつの変更を加えました。
「Core Ultra 9 386H」というノートパソコン向けのCPUが対応するメモリの速度を、8533MT/sから9600MT/sに引き上げたんです。
「それって何のこと?」という方のために、まず簡単に説明しますね。
メモリは「作業机の広さ」に例えられることが多いです。でも今回の話に関係するのは「机の広さ」ではなく、「机に書類を置いたり取り出したりする速さ」の方。これがメモリの転送速度です。速ければ速いほど、データのやり取りがスムーズになります。
今回の変更で、このCPUは「より速いメモリに対応できるようになった」ということです。
具体的には、LPDDR5Xという薄型ノートパソコン向けの省電力メモリの、より高速なバージョンが使えるようになりました。
8533MT/s → 9600MT/s というのは、約12%の速度アップです。体感でわかるほどの差かどうかはケースによりますが、特にグラフィック処理やAI系の作業では影響が出やすい数値です。
今回、気になるのは変更の内容そのものより、変更のやり方でした。
Intelはこの仕様変更について、プレスリリースも発表もしていません。IT系のニュースサイト(IT之家)がウェブ魚拓(Wayback Machine)の記録を比較して「3月22日以降に変更された」と気づいた、という形で明るみに出ました。
こういう「静かな仕様変更」、実はパソコン業界ではわりとよくあることです。ただ、今回はちょっと気になる点がありました。
これが一番の謎です。ハードウェアとしては最初から9600に対応できる能力があったのに、スペックシート上は8533と書いてあった。そして今回、それを引き上げた。
考えられる理由としては、「上位の新製品(Panther Lake系)との差別化を保つため、あえて制限をかけていた」というのがひとつ。新しいCPUが出るタイミングで既存製品のスペックを解放する、という戦略です。良く言えば段階的な展開、悪く言えば…という見方もできます。
この仕様変更を真っ先に取り込んだのが、ゲーミングデバイスで有名なRazer(レイザー)でした。
4月30日、Razerは「Razer Blade 16(2026年モデル)」の新構成として、Core Ultra 9 386H+64GB LPDDR5X-9600という組み合わせを発表しました。
| モデル | GPU | 価格(米ドル) | 参考(円換算) |
|---|---|---|---|
| Razer Blade 16 2026 | RTX 5080 | $4,699.99 | 約32万円 |
| Razer Blade 16 2026 | RTX 5090 | $5,599.99 | 約38万円 |
…うん、高い。でもこれがいわゆる「最高スペックのゲーミングノート」の現在地です。
注目したいのは、Intelの仕様変更(3月22日以降)からRazerの発表(4月30日)まで約5週間しかないこと。普通は製品の仕様を確認してから設計・発表まで相当の時間がかかります。つまりRazerは事前にIntelから仕様変更の情報を受けていたと考えるのが自然です。こういった大手メーカーとIntelの「先に知らせてもらえる関係」が透けて見えますね。
今回変更されたのは「Intelの公式スペックシート上の表記」です。すでに386Hを搭載したパソコンを使っている方が、ファームウェアの更新などで9600MT/sを使えるようになるかどうかは、現時点では公式からの説明がありません。メモリ速度はCPUだけでなく、マザーボードや搭載されているメモリの物理的なスペックにも依存するので、単純に「アップデートで速くなる」とは言い切れない部分があります。
この変更が直接影響するのは、これから386Hを搭載した新しいパソコンを買う人です。今後発売されるモデルは、メーカー側が9600MT/s対応のメモリを選んで搭載できるようになる、という話です。
今回の件で、個人的に改めて思ったのはこれです。
パソコンのスペック表って、「買った時点での確定情報」だと思いがちですよね。でも実際には、メーカー側の都合や市場の状況によって後から書き換わることがある。それも、ほとんど告知なしに。
これは必ずしも悪いことではないんですが、「信じていた数字が変わっていた」という体験は、特に詳しくないユーザーにとって戸惑いの原因になります。
パソコンを選ぶとき、スペック表の数字だけを追いかけるよりも、「自分の使い方に合っているかどうか」を軸にした方が結局後悔が少ないです。メモリの転送速度が8533でも9600でも、普段の文書作業やネットサーフィンにはほぼ影響ありません。
| 使い方 | メモリ速度の影響 |
|---|---|
| 文書作成・メール・ネット | ほぼ影響なし |
| 写真・動画の軽い編集 | あまり影響なし |
| 本格的な動画編集・3DCG | 速い方が有利 |
| ゲーム(特にオープンワールド系) | 体感できる場合あり |
| AI・機械学習 | かなり影響する |
IT之家(中国語)2026年5月2日
英特尔为酷睿 Ultra 9 处理器 386H 解锁 LPDDR5X 9600MT/s 内存支持,雷蛇导入※ 中国語の記事です。スペックシートの変更確認にWayback Machineを使用した報道。














