
ノートパソコンが充電できない。ACアダプタは挿さっているのに、画面の右下には「電源に接続: 充電していません」。残量はじりじり減っていく。出先だと本気で困るやつです。
で、この症状。修理が必要なケースももちろんありますが、そもそも壊れていないことが、かなりの割合であります。
先に結論:残量が80%前後で止まっているなら、故障ではなくメーカーのバッテリー保護機能です。設定を変えれば100%まで充電されます。
残量が0%や数%のまま増えないなら、順番にコンセント・ケーブル・充電ポートを疑います。ここまでで変わらなければ、ACアダプタ・充電ポート・バッテリーのどれかの故障です。
「ノートパソコンが充電できない」は、3つに分かれる
同じ「充電できない」でも、中身はまったく別物です。ここを分けずに対処法を探すから、いつまでも当たらない。まず自分がどれかを決めてください。
| いまの状態 | まず疑うもの | 自分で直る? |
|---|---|---|
| 80%前後で止まる | メーカーの保護機能 | 直る(設定) |
| 0%のまま増えない | 電源・ケーブル・ポート | 直ることがある |
| 挿しても減っていく | アダプタの出力不足 | 直ることがある |
| 充電はできるがすぐ切れる | バッテリーの劣化 | 交換が必要 |
この記事では上から順に見ていきます。いちばん多いのに、いちばん誤解されているのが1行目です。
80%で止まるのは、わざと止めています
リチウムイオンバッテリーは、満充電に近い状態で置かれ続けると早く劣化します。そこで各メーカーは「充電を8割くらいで止めておく」機能を用意していて、これが有効だとACアダプタを挿しても充電が始まりません。
つまり、パソコンは正常に判断して充電を断っている。持ち主だけが「壊れた」と思っている状態です。
HP は、バッテリー保護のためこの機能(バッテリヘルスマネージャー)を有効にすることを推奨しています。BIOS の設定で「バッテリの状態を最適化する」を選ぶと、充電は意図的に約80%で制限されます。
出典:日本HP「バッテリが80〜90%までしか充電されない」
やっかいなのは、メーカーごとに名前がぜんぶ違うことです。「いたわり充電」で検索しても、自分のメーカーがその名前を使っていなければ何も出てきません。
もうひとつ知っておくと慌てずに済む挙動があります。この機能が入っていると、上限を少し下回ったくらいでは充電を再開しません。数%落ちるたびに充電し直すと、それ自体がバッテリーを痛めるからです。「78%で挿しているのに充電しない」は、正常な範囲です。

0%から増えないときに、この順番で確かめる
残量が増える気配すらない場合。Dell が公式に案内している切り分けの順番が、メーカーを問わず使えるのでそのまま紹介します。安いものから、外側から潰していく順番になっています。
- ACアダプタを壁のコンセントに直挿しする。電源タップや延長コードを経由しない
- 充電ポートの中をのぞく。ホコリ・糸くず・端子の曲がりがないか見る
- ケーブルを根元から先まで触る。硬くなっている所、被膜が割れている所を探す
- 周辺機器を全部外して、放電してから挿し直す
- デバイスマネージャーで「Microsoft ACPI準拠のコントロール方法バッテリー」を削除し、再起動する
5番は怖く見えますが、再起動すればWindowsが勝手に入れ直します。充電状態を管理している部分の認識がずれているときに、これで戻ることがあります。
ここ、見落としがちです:1番の「壁に直挿し」を飛ばす人がとても多いです。電源タップが劣化していたり、他の機器と一緒に挿していて電圧が落ちていたりすると、充電だけが止まります。タップを替えるだけで直ることがあります。
4番の放電は、実はメーカーごとに正しい手順が違います。「電源ボタン長押し」が公式手順に入っていないメーカーもあるので、自分の機種のやり方で行ってください。
USB Type-Cで充電する機種は、もう一段ややこしい
最近のノートパソコンは、丸い専用の差込口ではなくUSB Type-Cで充電するものが増えました。これが「充電できない」を一段ややこしくしています。
形が同じなので挿さってしまう。でも充電されない。あるいは充電はされるけれど、使っている最中は減っていく。
用語:USB PD とは、USB Type-C のケーブルで大きな電力を流すための規格です。機器どうしが「何ワットまで流せるか」を相談して決めるため、ワット数が足りないアダプタだと、挿さっていても充電が追いつきません。
確かめてほしいのは次の2つです。ひとつは、本体のType-Cポートが全部充電に対応しているとは限らないこと。差込口の横に電源のマークが付いている側だけが充電用、という機種があります。もうひとつは、アダプタのワット数。スマートフォン用の小さなものでは、ノートパソコンには足りません。
もともと付いていた純正アダプタに戻して試すのが、いちばん早い切り分けになります。Type-C給電のノートパソコンで起動しなくなったときの話も、同じところでつまずいた例です。

ここまでで直らないなら、壊れているのはどれか
設定でもなく、電源まわりでもない。そうなると、物理的に壊れている候補は3つに絞られます。
ACアダプタ。別のアダプタで充電が始まれば、犯人はこれです。Dellの機種なら、起動時にBIOSの画面を開いてACアダプターのワット数が正しく表示されているかを見られます。「Unknown」と出ていれば、非対応か故障です。
充電ポート。挿したままケーブルを少し動かすと充電ランプが点いたり消えたりするなら、ここです。基板に直付けされている機種が多く、交換は分解が必要になります。
バッテリー。充電はできるが数十分で切れる、ACアダプタを抜いた瞬間に電源が落ちる、といった症状はこちら。抜いた瞬間に落ちるのは、もう蓄える力が残っていないということです。
そしてもうひとつ、これだけは様子を見ないでほしいものがあります。
注意:本体が浮いて閉じきらない、タッチパッドが押し上げられている、底面が膨らんでいる——これはバッテリーの膨張です。リチウムイオンバッテリーは膨らんだ時点で発火や破裂のおそれがあります。充電をやめ、電源を切った状態でお持ちください。刺したり押し込んだりは絶対にしないでください。

よくある質問
「電源に接続: 充電していません」と出るのは故障ですか?
故障とは限りません。メーカーのバッテリー保護機能が働いて、意図的に充電を止めている場合が多くあります。残量が80%前後で止まっているなら、HPならBIOSのバッテリヘルスマネージャー、富士通ならバッテリーユーティリティの充電モードを先に確認してください。
充電が80%で止まります。100%まで充電できますか?
設定を変えれば充電できます。これはバッテリーの劣化を抑えるための機能で、HPは「バッテリの状態を最適化する」、dynabookは「eco充電モード」、VAIOは「いたわり充電モード」という名前です。ただし電源に挿しっぱなしで使う場合は、変えないほうがバッテリーは長持ちします。
ACアダプタとバッテリーのどちらが壊れているか、自分で分かりますか?
ある程度は分かります。別のACアダプタで充電が始まればアダプタ側、変わらなければ本体側です。Dellの機種であればBIOSの画面でACアダプターのワット数が認識されているかを確認でき、「Unknown」と表示される場合はアダプタの非対応か故障が疑われます。
バッテリーが膨らんできました。使い続けても大丈夫ですか?
使用をやめてください。膨張したリチウムイオンバッテリーは発火や破裂のおそれがあり、本体の変形やタッチパッドの浮き上がりにもつながります。充電せず、電源を切った状態で点検にお持ちいただくのが安全です。
「充電できない」の正体は、だいたいこの4つのどれかです。わざと止めているか、電気が届いていないか、足りていないか、蓄えられなくなったか。最初の1つは無料で直り、最後の1つはお金がかかります。順番に見ていけば、どれなのかは自分で相当なところまで絞れます。
ひとつだけ、余計なお世話を。持ち歩かないノートパソコンなら、8割で止まる設定は入れたままのほうが幸せです。あれは不具合ではなく、メーカーからの「そんなに満タンにしなくていいですよ」という提案なので。切り分けに迷ったら、電話でもかまいませんので状態だけ教えてください。









100%まで充電したいなら、これをフル充電側に変えます。ただし持ち歩かず電源に挿しっぱなしで使う人は、変えないほうがバッテリーは長持ちします。