
「メモリ管理エラーです」というブルースクリーンが何度も出て、メモリを買い直すべきか迷っていませんか。組み上げたばかりの自作PCやBTO、あるいはメモリを増設した直後によく出るやつです。ただ、この青い画面に出てくる MEMORY_MANAGEMENT という文字列、犯人の名前ではありません。通報者の名前です。
私はこの手のエラーを勝手に「通報者エラー」と呼んでいます。火事があって119番通報が入ったときに、通報した人の名前が「火事さん」だったとしても、その人が火をつけたわけではない。それと同じ構造のことが、この青い画面では起きています。
Windowsには「メモリ管理」という担当部署があります。どのアプリにメモリのどこを貸すか、返してもらったか、変な使われ方をしていないかを常時見張っている部署です。その部署が「これはおかしい、続けたら壊れる」と判断したときに強制停止をかけるのが、MEMORY_MANAGEMENT のブルースクリーンです。つまりエラー名は、異常を見つけた側の部署名でしかありません。
ややこしさの原因はここです。日本語の「メモリ」はメモリモジュール(RAMの棒)を指すことがほとんどですが、エラー名の「メモリ管理」はWindows内部の仕組みの名前です。棒の話をしているのか、仕組みの話をしているのか。同じ単語で二つのレイヤーを行き来しているので、素直に読むと「棒が壊れた」に着地してしまう。設計した人はたぶん、こんなに多くの人がメモリを買い直すとは思っていなかったはずです。

同じ 0x1A でも、中身は一種類ではありません。ここが切り分けの出発点になります。
青画面を撮り損ねても大丈夫です。再起動後、スタートボタンを右クリックして「イベントビューアー」を開き、「Windowsログ」→「システム」を選び、ソースが BugCheck のイベント(イベントID 1001)を探してください。「0x0000001a (0x…, 0x…, 0x…, 0x…)」という形で、括弧内にパラメータが4つ並んでいます。この1つ目が、さきほどの表と照らし合わせる値です。
……と、パラメータの読み方を熱く語ってしまいましたが、全部覚える必要はまったくありません。数字が16進数で並んでいる時点で、多くの人にとってはもう文字ではなく模様です。スクリーンショットを撮って保存しておいてくれれば、それで十分です。読むのはこちらの仕事なので。
自作PCでこの症状が出たとき、真っ先に容疑者リストに載るのが XMP(AMD環境では EXPO)です。メモリの箱に書いてある「DDR5-6000」のような速度は、BIOSでこのプロファイルを有効にして初めて出る数字で、有効にしていなければもっと低い速度で動いています。
メーカーが検証済みのプロファイルを選ぶだけなので安全に見えますが、位置づけとしてはオーバークロックです。動かなければ「動かないほうが正常」くらいの前提でいるほうが、精神衛生上もよろしいかと思います。
Linus Tech Tipsのフォーラムに、この落とし穴がきれいに残っています。2022年、Ryzen 5 2600 と Corsair の DDR4-3200 という構成で、XMPを有効にするとログイン直後にメモリ管理のブルースクリーンが出るという相談でした。相談者はCPUの公式対応速度が2933だと知り、XMPを切って手動で2933に設定していました。
そこへ返ってきた指摘が、「XMPを有効にしたうえで周波数を落とせ。今のやり方では定格のタイミングのまま周波数だけ上げていることになる」というものでした。相談者はXMPを有効のまま3133へ落として安定し、そこで話が終わっています。XMPをオフにするほうが不安定だった、という結末です。

上から順に進めてください。作業前に大事なデータのバックアップを取っておくこと、BIOS設定を変える前に現在の設定をスマホで撮っておくことをおすすめします。
メモリテストが通ることと、そのPCが安定していることは、残念ながらイコールではありません。テストはメモリに特定のパターンを書いて読み返す作業なので、実際のWindowsが行う複雑なアクセスとは負荷のかかり方が違います。そして、そもそもメモリ以外が原因なら、当然テストは通ります。
Microsoft Q&Aには、2025年12月に投稿された極端な実例があります。Ryzen 5 8500G と DDR5-5600 という構成で1時間おきにメモリ管理のブルースクリーンが出るという相談で、この方はメモリ、マザーボード、電源、CPUをすべて買い替えました。それでも止まらず、Linuxを入れたところ正常に動いた、というところまで報告されています。ハードを全部替えても直らないことがある、という証拠として、これ以上ないサンプルです。
別の相談では、0x1A のブルースクリーンの原因がオーディオドライバに絞り込まれています。XMPは無効、メモリ診断も正常。それでも特定のドライバを有効にしたときだけ再現したため、ドライバベリファイアという検証機能を使って犯人が特定されました。「メモリは無罪、ドライバが真犯人」という筋書きは、実際そこそこあります。
なお、Windows 11 25H2でメモリ管理エラーが多発しているという公式アナウンスは、現時点では出ていません。Microsoftの「既知の問題」ページにも掲載がなく、ネット上で見かけるのは個別のユーザー報告です。OSのせいにするのは、他の容疑者を全部帰らせてからにしてください。

店頭ではこの症状を、パラメータの確認、メモリ設定を定格に戻しての再現確認、1枚挿しでの分離、テスト、それでも残ればドライバとストレージ、という順で見ていきます。順番自体は上の手順とほぼ同じで、違うのは検証用の予備メモリと予備の環境を持っていることです。切り分けは、比較対象を持っているかどうかで速度が変わります。
目安として、メモリテストでエラーが出た場合、青画面が日に何度も出て作業にならない場合、そしてBIOS設定を触るのが不安な場合は、無理をせずご相談ください。手順の2以降は、うっかりすると起動しなくなる操作も含みます。









