
「孫にパソコンをプレゼントしたいけれど、底面の塗装が剥げてしまっている。塗装し直してもらえませんか?」——そんなお問い合わせをいただきました。気持ちのこもった贈り物にしたい、その思いはとてもよく伝わります。でも正直にお伝えしなければならないことがあります。
実は、塗装ブースがあります
当店は、パソコン修理店としてはかなり珍しい設備を持っています。店内にプラモデル用の塗装ブースがあるのです。オーナーの趣味で設置したものですが、おかげでパソコン部品への塗装作業自体は、物理的には可能な環境が整っています。

では、なぜ「お受けします!」と即答しないのか——それには、塗装の知識が深まれば深まるほど見えてくる、避けがたい現実があるからです。
ポイント
塗装ブースがあっても、「剥げにくい塗装」を保証することは、私たちには難しいというのが正直なところです。
日常使いのものを塗装すると、なぜ剥げるのか
プラモデルと、毎日持ち歩くノートパソコンでは、置かれる環境がまったく違います。プラモデルは飾って眺めるもの。パソコンはカバンに入れ、机に置き、膝の上で使い、何度も開閉する——それを毎日繰り返します。
塗装が剥げやすい主な原因
- 摩擦と衝撃:底面は特に机との接触が多く、塗料が削れやすい場所です。
- 素材の問題:プラスチックやアルミへの塗料の定着は、木材や金属製品よりも難しく、下地処理が非常に重要です。
- 温度変化:パソコンは使用中に発熱し、冷えるを繰り返します。この収縮が塗料の剥離を促進します。
- コーティングの限界:クリアコートで保護することはできますが、業務用ハードコーティングは専門設備が必要で、一般の修理店では対応が難しい領域です。
見た目は整えられる、でも「剥げにくさ」は保証できない
塗装することで、見た目をきれいに整えることはできます。傷や色あせが目立たなくなり、贈り物として見栄えも良くなるでしょう。それ自体は意味のあることです。
ただ、「また剥げてしまうかもしれない」というリスクを正直にお伝えしないまま作業をお受けすることは、私たちにはできません。お客様が期待される「もとどおりにきれいになった状態が長続きする」という仕上がりを、100%お約束することが難しいのです。
費用対効果について
塗装作業には下地処理・塗装・乾燥・コーティングなど複数の工程が必要です。「少し色を塗るだけ」というイメージの費用ではお受けが難しく、それに見合う耐久性も保証しにくい——これが現状です。
今回のお客様へ
ご連絡いただいたお客様は「自分で塗装してみようかな」とおっしゃっていました。その方法も一つの選択肢です。市販のプラモデル用塗料やスプレーを使えば、見た目を整えることはできます。ただ、その場合も「あくまで見た目を整えるもの」と割り切って使うのが、長くお付き合いできる考え方だと思います。
また、底面の傷や塗装の剥げが気になるようであれば、保護シール(スキンシール)や底面カバーを貼るという方法も費用対効果が高くおすすめです。剥がれることなく、見た目も変えられます。
当店の結論
パソコンの塗装は、「見た目を一時的に整える」ことを目的に行うのであれば有意義です。しかし「長期間剥げにくい仕上がり」を求めるのであれば、現状の設備と技術では十分なご提供が難しいと判断しています。お客様の大切なお孫さんへのプレゼントだからこそ、正直にお伝えすることが誠実だと考えました。
今後、同様のご検討をされている方にとって、この記事が少しでも参考になれば幸いです。パソコンのことでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。














