
Apex One(アペックスワン)は、Trend Microが企業向けに提供しているエンドポイントセキュリティ製品です。「エンドポイント」というのは、社員が使っているパソコン1台1台のことで、それをまとめて管理・保護するシステムです。
中堅〜大企業の社内ネットワークでよく使われていて、ウイルス対策・不正アクセス検知・ランサムウェア対策などをまとめてカバーしてくれる、いわゆる「会社のセキュリティの要」です。個人用のウイルス対策ソフトとは違い、サーバーから社内の全パソコンを一元管理できる点が特徴です。
2026年5月、Trend MicroはCVE-2026-34926というコードが付けられたゼロデイ脆弱性を公表しました。
- 1 どこに穴があるか:Apex Oneのオンプレミス版サーバー(社内に設置したサーバー)
- 2 何ができてしまうか:攻撃者がサーバー内のデータを改ざんして、社内の全パソコンに悪意のあるプログラムを送り込める
- 3 条件は:攻撃者がそのサーバーに管理者としてアクセスできる状態であること(リモートアクセス含む)
- 4 クラウド版は:影響なし。オンプレミス版(自社サーバー設置型)のみが対象
「ゼロデイ」というのは、修正パッチが公開される前から攻撃に使われていた、という意味です。つまり防ぎようがない状態で、すでに実害が出ていたということです。
ここが今回の話で一番重要なところです。
Apex Oneはセキュリティのために入れているはずのソフトです。なのに、そのApex Oneのサーバーが侵入口になって、社内の全パソコンにウイルスをばらまかれてしまう可能性がある。
なおかつ、司令塔が乗っ取られているわけですから、社員のパソコンには「正規の更新」として悪意のあるプログラムが届くかもしれない。ウイルス対策ソフト自体が、ウイルスの配送業者になってしまうわけです。
ちょっと驚くかもしれませんが、Apex Oneはここ数年、毎年のようにゼロデイ脆弱性が見つかっています。
CISAのデータベースには、Trend Micro Apex関連の脆弱性が12件「悪用済み」として記録されています。これだけの数が繰り返し狙われているということは、攻撃者にとってApex Oneを狙うことが「有効な手口」として定着してしまっているということです。
Apex Oneは管理サーバーから社内全パソコンに命令を出せます。ここを1か所乗っ取るだけで、社内全体に影響が及ぶ。攻撃者にとって「費用対効果」が高い標的なんです。
今回の話で、もうひとつ気になるポイントがあります。
2025年8月に見つかった前の脆弱性(CVE-2025-54948)は、台湾が標的になっているケースが多く、中国系のAPT(高度な技術を持つハッカー集団)が関与している可能性が指摘されていました。
「APT」というのは国家やそれに準じる組織がバックにいる、プロ中のプロの攻撃者集団です。個人の愉快犯とは違い、特定の企業・政府機関・インフラを狙って、長期間かけて潜入する手口が特徴です。
今回の脆弱性、直接の対象は「Apex Oneのオンプレミス版を使っている企業」です。個人ユーザーや小規模なお店には直接関係ありません。
ただ、ここで考えてほしいのは「取引先や関係先が被害に遭ったらどうなるか」という視点です。
- ! 取引先の会社から送られてくるメールが、知らずに感染したパソコンから届く
- ! 顧客情報を持つ企業が侵害され、自分の個人情報が流出する
- ! サプライチェーン攻撃として、下請け・発注元に被害が波及する
もし職場でApex Oneを使っている、あるいは社内システムの管理をされている方がいれば、確認してほしいことを整理します。
-
1
オンプレミス版かどうかを確認する
クラウド版・SaaS版は今回の影響を受けません。自社サーバーに立てている場合のみ対象です。 -
2
Trend Microの公式アドバイザリを確認する
CVE-2026-34926のパッチが提供されているか確認し、適用済みかチェックします。 -
3
管理コンソールへのアクセス経路を見直す
外部から管理画面に直接アクセスできる状態になっていないか、ネットワーク設定を確認します。 -
4
社内のIT担当者・ベンダーに連絡する
「Apex Oneのパッチは当たってますか?」と一言確認するだけでも違います。
Trend Micro側で対応済みのため、追加の対応は不要です。管理画面でバージョンを確認しておくと安心です。
今回の話をひとことでまとめると、「セキュリティソフトを入れたら終わりではない」ということです。
どんな製品にも穴は出てきます。大切なのは、穴が見つかったときに素早くふさぐこと。そのためには、普段から情報をチェックして、パッチ適用のサイクルを回し続けることが必要です。
パソコンや車と同じで、セキュリティも定期的なメンテナンスが欠かせません。「入れっぱなし」にしていると、ある日突然それが弱点になってしまいます。
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