
「GPUメーカーのNVIDIAが、CPUを作った」——そんなニュースが2026年に飛び込んできました。しかもCopilot+ PC対応のNPU付きというおまけつき。「CPUってIntelとAMDじゃないの?」という方も多いと思うので、修理屋目線でわかりやすく整理してみます。
みなさんご存じのとおり、NVIDIAはグラフィックボード(GPU)のメーカーです。ゲームをガリガリ動かしたり、AI計算をゴリゴリ処理したりする「GeForce RTX」シリーズでおなじみですよね。
その NVIDIAが新たに発表したのが「RTX Spark」というSoC(System on a Chip)。CPUとGPUとメモリを1枚のチップにまとめた、いわゆる”全部入りチップ”です。これを搭載したノートPCが今秋から順次登場します。
Windows向けCPUを作るメーカーはこれまでIntel・AMD・Qualcommの3社でした。そこにNVIDIAが加わって、ついに4社体制になります。NVIDIAは十数年前の初代Surfaceでも一度Windowsに搭載された実績があるので、”完全な新参”というわけではありませんが、それでも久々の復帰は業界的にかなり大きな動きです。
Armアーキテクチャを使ったWindowsノートは、最近QualcommのSnapdragon Xシリーズで増えてきています。NVIDIAも同じArm系で乗り込んでくるということは、「Armな Windows PC」が今後どんどん当たり前になっていく流れを感じますね。修理屋的には、パーツの互換性や修理対応が今後どう変わるか、ちょっとアンテナを張っておきたいところです。
そもそも「Copilot+ PC(コパイロット プラス ピーシー)」とは、マイクロソフトが2024年に打ち出したPC規格のことです。簡単に言うと、AI機能をサクサク動かせる専用ハード(NPU)を積んだPCのこと。
NPUというのは「Neural Processing Unit」の略で、AI専用の処理回路のことです。CPUやGPUとは別に、AI推論処理だけに特化して作られています。「40TOPS」というのはその処理性能の指標で、数字が大きいほど速く・省電力にAI処理ができます。
ここが今回の記事で一番お伝えしたい部分です。NVIDIAの発表によると、RTX SparkのGPUはAI性能で「GeForce RTX 5070」に相当する1PFLOPS(ペタフロップス)という数字をたたき出すとされています(NVFP4精度での発表値)。これはCopilot+ PCのNPU要件(40TOPS)を大幅に上回る水準です。
だったら「NPUなんて要らないじゃん。GPUに全部やらせればいい」と思いますよね。実際、製品発表でもNPUの話はほとんど出てこなかったくらい、GPU性能の話ばかりでした。
でも、GPUとNPUは競合するものではなく、役割が違うものなんです。
その分、消費電力も大きい。
消費電力が少なく、バッテリーに優しい。
ノートPCで考えるとわかりやすいですよね。重いゲームをしながら、Copilotのリアルタイム字幕も動かしたい——そのとき、字幕生成まで全部GPUにやらせると消費電力がかなり増えます。でも字幕生成はNPUに任せてしまえば、GPUはゲームに集中でき、バッテリーも長持ちする。
車で例えると、GPUはエンジン全開で高速道路をぶっ飛ばすイメージ。NPUはアイドリングストップや回生ブレーキのような「じわじわ効く省エネ機能」のイメージです。どちらも必要で、役割が違うんですよね。すごいGPUがあっても、NPUが無駄になることはない、ということです。
NVIDIAの発表によると、RTX Spark搭載PCを展開する予定のメーカーの中にMicrosoft Surfaceが含まれています。MicrosoftはCopilot+ PCを積極的に推進してきた張本人ですから、自社ブランドのSurfaceがCopilot+に非対応というわけにはいきません。
Microsoftは自社ブログで「RTX SparkはCopilot+ PCカテゴリに加わる」と説明しており、NPU搭載についても言及されています。ただし、どのNPUを搭載するか、詳細なスペックは現時点で明らかにされていません。MediaTekとの共同開発とされるCPU部分も含め、発売前の情報整理はまだ途中という状況です。
「じゃあRTX Spark搭載PCを待って買うべき?」という話になるかと思いますが、正直まだ情報が揃っていない段階です。価格帯・実際の発熱・バッテリー持ちなど、実機が出てレビューが集まらないとわからない部分が多い。
今の時点で整理しておくと、こんな感じです。
Arm版Windowsの注意点として、業務でよく使う古い会計ソフトや特定のドライバが動かないケースがあります。お店ではそういった「動かない!」というご相談もちょくちょく受けるので、乗り換える前に使用中のソフトのArm対応状況を確認しておくことをおすすめします。「まずはご相談から」が一番てっとり早いですよ。
新しいアーキテクチャのPCに乗り換えるときは、今使っているソフトや周辺機器がそのまま動くかどうかを先に確認しておくと安心です。特にArm版Windowsは対応状況が製品によってまちまちで、「買ってから使えないとわかった」というケースも実際に起きています。
RTX Sparkについては、実機レビューが出そろう秋以降に改めて情報をまとめようと思っています。続報があればまたこのブログでお伝えします。














