
パソコンのChromeの右上、三点メニューのアイコンが赤い状態になっていませんか。私はこれを店頭で月に何度も見かけます。そして持ち主本人は、だいたい気づいていません。壊れたわけでもウイルスでもないのですが、「大丈夫じゃない」寄りのサインではあるので、今日はこの赤いアイコンの正体と、30秒で終わる対処法の話をします。
まず正体から。これはChromeのデスクトップ版に昔からある仕様で、要するに「更新プログラムはとっくに用意できているのに、あなたがブラウザを再起動してくれないので適用できません」という通知です。
Chromeの更新は、普段はブラウザを閉じて開き直すあいだに裏で勝手に済んでいます。だから毎日ちゃんとパソコンごと終了させている人は、この色をほぼ見ません。逆に言うと、赤いアイコンが出ているということは——Chromeがあなたに「最後に私を閉じたの、いつですか」と聞いています。

「再起動すればいいだけなら、なんで1週間も放置するの?」と思った方。あなたのChromeのタブ、いま何個開いていますか。
調べ物の途中のタブ。あとで読むつもりの記事のタブ。もう何のために開いたのか思い出せないけれど、閉じる勇気が出ないタブ。再起動ボタンを押せばいいことは、みんな分かっているんです。でもタブが人質に取られている。この現象を、当店では(私が勝手に)「タブ人質問題」と呼んでいます。
店頭では、タブが50個以上開いたまま何週間も稼働し続けているノートパソコンをお預かりすることが珍しくありません。持ち主に聞くと、ほぼ全員が同じことを言います。「閉じたら消えそうで」。お気持ちは分かります。私も昔、タブ73個を人質に取られていた側の人間なので。
ただ、ここで朗報です。人質は、再起動しても帰ってきます。Chromeは再起動時に、開いていたタブとウィンドウを自動で復元してくれます。つまりタブ人質問題は、「人質は最初から無事」という事実を知った瞬間に解決する事件です。
やることは以下のとおりです。手順と呼ぶのが申し訳ないくらい短いです。

ここからは少しだけ真剣な話になります。Chromeの更新に含まれるのは新機能だけではなく、大半はセキュリティ修正です。Chromeは脆弱性の修正をかなりの頻度で配信していて、その中にはすでに悪用が確認された脆弱性への修正が含まれることも報告されています。
赤いアイコンのまま使い続けるということは、「修正パッチは手元に届いているのに、穴が開いたままの状態で使い続けている」ということです。ブラウザは、ネットバンキングもカード決済も通販もぜんぶ通る場所です。家に例えるなら玄関で、その玄関の鍵の交換部品が1週間以上、玄関マットの上に置きっぱなしになっている——
と、ここまで書いて、怖がらせすぎている気がしてきました。落ち着いて補足すると、赤いアイコン=即座に事故という話ではなく、これは確率の問題です。ただ、その確率を下げるボタンが目の前にあって、30秒で押せるのです。押さない理由のほうが見つからない、というのがこの話の結論です。

最後にもう一度だけ。タブ人質問題の解決に必要なのは、勇気ではなく「人質は最初から無事」という知識だけでした。赤いアイコンは、Chromeからの「そろそろ私を閉じてください」という、かなり控えめな悲鳴です。気づいた今日が、聞いてあげるいちばんいい日だと思います。









