Dellのノートパソコンが起動しない――そんな不具合の「予告状」が、いまメールで届いています。AMDプロセッサ搭載モデルの一部で、SSDのファームウェアを更新しないと起動不能やエラー(2000:0151)が起きる恐れがあるという、Dell公式の通知です。
で、問題はここからです。この手の重要メール、たぶんほとんどの人が読まずに捨ててます。英語だし、差出人はいつも広告を送ってくるDellだし。読まれないまま受信箱の奥で眠り、ある日突然パソコンが起動しなくなる。私はこれを「受信箱の時限爆弾」と呼ぶことにしました。今日はこの爆弾の解除方法を書きます。
先に結論
AMDプロセッサ搭載のDellノートパソコンのうち、Samsung製またはMicron製SSDを積んだ一部モデルで、起動しない・エラー2000:0151が出る不具合が起きる恐れがあります。Dellサポートサイトから最新のSSDファームウェアを適用すれば予防できます。
発症してからでは対処が難しくなるタイプの不具合です。心当たりのある方は、データのバックアップ→ファームウェア更新の順で、早めに済ませてください。
Dellノートパソコンが起動しない不具合、何が起きている?
今回Dellが送っている通知の中身を整理します。対象は、AMDプロセッサを搭載したDellノートパソコンのうち、Samsung製またはMicron製のSSDが載っている一部のモデル。この組み合わせで、起動できなくなる、あるいは起動時にSSDのエラー(エラーコード:2000:0151)が表示される不具合が起きる恐れがある、という内容です。
対処法はシンプルで、SSDのファームウェアを最新版に更新すること。逆に言うと、更新しない限り爆弾は受信箱と本体の中に残り続けます。この通知は該当機の購入者に個別送付されているもので、店頭にも実際に届いています。
用語:ファームウェアとは
ファームウェアとは、SSDなどの部品自体に組み込まれている制御用ソフトウェアである。Windowsより下の階層で動いており、ここに不具合があると、OSが起動する以前の段階でパソコンが止まる。だからこそ「Windowsは正常なのに起動しない」という症状が起きうる。
店長より
2000-0151は、起動時の診断でSSDに異常が見つかったときに出るコードです。店頭でも、この番号をスマホで撮って持ってこられる方がけっこういます。撮っておくの、正解です。
「本当にファームウェアで起動しなくなるの?」と思った方のために、Dellが実際に配布している修正版の説明も確認しました。
一次情報
Dellが配布しているSamsung製SSD(BM9C1)向けファームウェア更新の説明には、システムにログインできずSSD上のデータにアクセスできない問題と、システムを起動できない問題を修正した旨が明記されています。今回の通知メールが警告している症状と一致する内容です。
「受信箱の時限爆弾」問題――重要なメールほど読まれない
ここからが本題です。今回の通知、内容はかなり深刻なのに、届き方が地味すぎる。件名は英語。本文も英語。差出人は、普段セールのお知らせばかり送ってくるDell。この条件で「これは自分のパソコンが起動しなくなる話だ」と気づける人、どれくらいいるでしょうか。
しかもメール本文の「対象機器」の欄に並んでいるのは、機種名ではなく注文番号なんです。31KLZF4みたいな英数字の羅列。自分のパソコンの注文番号を覚えている人間は、この世にほぼ存在しません。つまりこの通知は、届いた瞬間から「自分事に見えない」ように設計されてしまっている。宣伝メールは全力でこちらの気を引きにくるのに、本当に大事なメールほど、化粧っ気がない。
これはメーカーが悪いという話でもなくて、リコール的な通知には法務チェックやら国際共通文面やらの事情があって、どうしても事務的になります。人間側には人間側の事情があって、英語のメールを見た瞬間に脳が「後で読む」フォルダへ放り込む。この「後で」は永遠に来ません。かくして受信箱の奥で時限爆弾が静かにカウントを刻む……と、メール開封率の話を熱く語り始めましたが、私はパソコン修理屋であってマーケターではありませんでした。話を戻します。
要するに、この記事を読んでいるあなたに知っておいてほしいのは1つだけ。Dellからの英語メールを最近ゴミ箱に入れた記憶がある方、それ、時限爆弾だったかもしれません。ゴミ箱から拾ってきてください。
Dellから届いたメールは本物?見分け方
「メーカーを装った詐欺メールでは?」と疑うのは、むしろ健全です。今回の通知は本物ですが、こういう本物の通知が出回ると、それに便乗した偽メールが後から湧いてくるのがネットの世界の様式美。本物と偽物を分けるポイントは、メールの見た目ではなく行動の側にあります。
メール内のリンクからは更新しない
本物の通知に便乗して、偽サイトへ誘導し偽の「更新ツール」を入れさせる手口が存在します。ファームウェア更新は、メールのリンクを踏むのではなく、自分でブラウザからDell公式サポート(dell.com)にアクセスして行ってください。メールは「更新が必要だと知るきっかけ」とだけ捉えるのが安全です。
この原則さえ守れば、届いたメールが本物か偽物かの判定に神経をすり減らす必要がなくなります。メールの真贋を見抜く目を鍛えるより、「更新は必ず公式サイトから自分で取りに行く」と決めてしまうほうが早い。これはDellに限らず、あらゆるメーカー通知に使える万能の型です。
自分のPCが対象かを確認する方法
メールが来ていない、または捨ててしまって確認できない場合でも、自分のパソコンが該当しそうかは調べられます。チェックするのは2点です。
チェック1:CPUがAMDかどうか
Windowsの「設定」→「システム」→「バージョン情報」を開くと、プロセッサ名が表示されます。ここに「AMD Ryzen」などAMDの文字があれば該当候補。「Intel」であれば今回の通知の対象外です。
チェック2:SSDがSamsung製かMicron製か
スタートボタンを右クリック→「デバイスマネージャー」→「ディスクドライブ」を開くと、SSDの型番が表示されます。型番に「Samsung」「Micron」の文字、あるいは「BM9C1」「PM」「MTFD」といった両社特有の型番が含まれていれば該当候補です。ただし最終判定は、次の手順でService Tagを使ってDell公式サイトに聞くのが確実。公式サイトはあなたのパソコン専用の更新プログラムだけを表示してくれるので、対象外なら該当ファームウェアがそもそも出てきません。
店長より
Service Tagは本体裏面のシールにも印字されています。文字が小さいので、スマホで撮って拡大して読むのが店長流です。老眼との戦いに、道具は惜しみなく使いましょう。
SSDファームウェアの更新手順
ここからは正確さ最優先で、事務的に書きます。作業前に、次の警告だけは必ず読んでください。
更新前に必ず:バックアップと電源確保
ファームウェア更新の途中で電源が切れると、SSDが復旧不能になる恐れがあります。作業前に大切なデータを外付けドライブやクラウドへバックアップし、ノートパソコンは必ずACアダプタを接続した状態で実行してください。更新中はパソコンを操作せず、終わるまで待ちます。Dell自身も、通知メール内でバックアップの実施を推奨しています。
1
データをバックアップする
写真・書類など消えて困るデータを、外付けSSD・USBメモリ・OneDriveなどのクラウドへコピーします。ACアダプタも接続しておきます。
2
Dellサポートの「ドライバおよびダウンロード」を開く
3
Service Tagを入力して自分の製品を特定する
検索欄にService Tag(本体裏面のシールに記載の英数字)を入力して検索します。分からない場合は「すべての製品を参照」から機種をたどることもできます。
4
カテゴリ「ストレージ」からSSDファームウェアを探す
ドライバ一覧のカテゴリで「ストレージ」を選び、Samsung製またはMicron製SSDの最新ファームウェア更新プログラムを探して「ダウンロード」します。表示されない場合、そのパソコンは対象外の可能性が高いです。
5
実行して再起動する
ダウンロードしたファイルを実行し、画面の指示に従います。更新自体は短時間で終わります。完了後に再起動して、通常どおり起動すれば作業完了です。
店長より
更新は数分で終わりますが、途中で電源を切るのだけは絶対にやらないでください。バッテリー残量ギリギリで始めるのもNGです。ACアダプタを挿してから、が鉄則です。
よくある質問
Q
すでにエラー2000-0151が出てDellのパソコンが起動しない場合はどうすればいい?
A
起動しない状態からの自力でのファームウェア更新は難しいため、むやみに再起動を繰り返さず、Dellサポートまたは修理店に相談してください。SSDに異常が出た状態で通電を繰り返すと、データ救出の可能性が下がっていく恐れがあります。中のデータが必要な場合は特に、そのままの状態で相談するのが安全です。
A
無料です。Dell公式サポートサイトから該当のファームウェア更新プログラムをダウンロードして、自分で適用できます。費用を請求される場合は公式の手順ではないので、その場で中断してください。
Q
自分のパソコンが対象かどうか、どうしても分からないときは?
A
Service TagをDell公式サポートサイトに入力して確認するのが最も確実です。あなたのパソコン専用の更新プログラム一覧が表示されるので、そこにSSDファームウェアが出てこなければ対象外と判断できます。操作自体が不安な場合は、パソコンごと修理店に持ち込んで確認してもらう方法もあります。
最後にまとめます。今回の不具合は、発症してから慌てるより、発症する前の数分の作業で防げるタイプのトラブルです。そして受信箱の時限爆弾は、開封して中身を確認した瞬間に、ただの「親切なお知らせ」に変わります。解除方法は、この記事に全部書きました。
この記事を書いた人
ピシコ店長
苫小牧市のパソコン・スマホ修理店「ピシコ」店長。PC・スマホ修理歴16年。店頭での実際の修理事例をもとに、地域の方に役立つ情報を発信しています。
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