
Radeon 値上げの話が、また出てきました。2026 年 10 月 30 日、海外の PC 系ニュースサイトが相次いで「AMD が 11 月に、Radeon の GPU と GDDR6 メモリのセット価格をもう一度上げる予定」と報じています。ゲーミングPCやグラボの買い替えを考えていた方には、気になる見出しだと思います。
ただ、中身を読むと、話の出どころは中国のサプライチェーン筋で、AMD は何も発表していません。値上げ幅も決まっていない。「また上がるらしい」だけで慌てて買うのも、待ちすぎるのも、どちらも損になり得ます。この記事では、報じられた中身と分かっていないことを分け、買う・待つを自分の用途で決めるための材料を並べます。
先に結論:報じられているのは、AMD がグラボメーカー(ボードパートナー)に売る「GPU+GDDR6」のセット価格を 11 月に上げる見込み、という話です。値上げ幅は未定で、AMD は公式に認めていません。
今すぐパソコンが必要な人は、待っても下がる材料が見当たらないので、必要な構成で買ってしまってよい時期です。急がない人は、まず今のパソコンで直せるところを確かめてから決めても遅くありません。
Radeon 値上げの報道、11月に何が上がるのか
まず、今回の報道で「上がる」とされているのは、お店に並ぶグラボの値札そのものではありません。AMD が、グラボを組み立てて売るメーカーに出荷する部品の価格です。Radeon のグラボは、AMD が作った GPU と、それに組み合わせる GDDR6 メモリをセットでメーカーに渡し、メーカーが基板や冷却ファンを付けて製品にしています。
用語:ボードパートナーとは、AMD や NVIDIA から GPU を仕入れ、自社の基板・冷却ファンを付けてグラフィックボードとして売るメーカーのことです。ASUS、MSI、SAPPHIRE、PowerColor などがこれに当たり、店頭で買うグラボのほとんどはこうしたメーカーの製品です。
報道の元は、中国のサプライチェーン情報を扱う ChannelGate です。Club386 と Wccftech がそれを取り上げ、10 月に続いて 11 月にもセット価格が上がる可能性がある、と伝えました。
業界筋の情報によると、AMD はボードパートナーに供給する Radeon の GPU と GDDR6 メモリのセット価格を、10 月の値上げに続いて 11 月にも上げる可能性がある。正確な値上げ幅はまだ決まっていない。
出典:Club386「AMD may be planning another Radeon GPU price hike in November」(2026 年 10 月 30 日)
分かっていることと、分かっていないことを表にしておきます。ここを混ぜて読むと、「11 月から店頭で何割も上がる」のような、どこにも書かれていない話になってしまいます。
| 項目 | 報道の中身 |
|---|---|
| 上がるもの | ボードパートナー向けの GPU+GDDR6 のセット価格 |
| 時期 | 11 月の見込み(10 月にも値上げがあったとされる) |
| 値上げ幅 | 未定 |
| 情報源 | 中国のサプライチェーン筋(ChannelGate) |
| AMD の発表 | なし |
| 店頭価格 | 報道の対象外。反映の有無と時期は不明 |

Radeon 値上げが続く理由はGDDR6メモリの高騰
今回の話は突然出てきたものではありません。Club386 によると、AMD のセット価格の値上げは 2025 年 12 月ごろから始まり、メモリ不足が深まるにつれて 2026 年も続いてきたとされています。そのいちばんの理由が、グラボに載る GDDR6 メモリの値上がりです。
ChannelGate の情報として伝えられているのは、2026 年の第 3 四半期(7〜9 月)に GDDR6 の価格が 8〜10% 上がったという数字です。グラボの部品の中でメモリが占める割合は小さくないので、ここが上がるとセット価格に響きます。パソコンのメモリや SSD が高くなっているのと、根っこは同じ話です。
実際の販売価格の動きは、海外の検証チャンネル Hardware Unboxed が毎月調べています。Club386 が紹介している数字を並べると、値上がりが一度きりではなく、毎月続いていることが分かります。
| 調査 | 前月からの値上がり |
|---|---|
| 8 月の調査 | 15% |
| 9 月の調査 | 7% |
| 最新の調査 | 11%(10 か国の平均) |
| RX 9060 XT 16GB | 17%(Radeon でいちばん大きい上げ幅) |
同じ記事では、イギリスなどで多くのモデルが品切れになっているとも伝えられています。値段が上がっているだけでなく、欲しい型番がそもそも手に入りにくい、という状態です。
メモ:上の数字は海外の販売価格を調べたもので、日本の店頭価格ではありません。為替や国内の在庫状況で動きは変わるので、日本でも同じ割合で上がっていると読み替えないでください。
日本の店頭価格には、いつ・どれくらい響く?
読者がいちばん知りたいのはここだと思いますが、日本の店頭でいつ、いくら上がるかを示す公開の情報は、今回は見つけられませんでした。分かっているのは、卸値が上がってから店頭に届くまでには時間差がある、ということです。
今回の値上げは GPU とメモリのセットに対するもので、店頭価格に直接かかるものではない。ボードパートナーが値上がりした部品を受け取ってから、店頭価格に反映されるまでには数週間かかる可能性がある。
出典:Wccftech「Radeon RX 9000 Series Cards Will Likely Cost More Within Weeks As AMD Hikes GPU-Memory Bundle Prices For Board Partners In November」(2026 年 10 月 30 日)
お店に今並んでいるグラボは、値上げ前の価格で仕入れたものかもしれません。逆に、次に入ってくる分から値札が変わることもあります。「11 月 1 日を境に一斉に上がる」という形にはならないと考えておくほうが、実際の動きに近いはずです。
ここ、見落としがちです:値上げの報道が出ると、在庫が先に売れて品切れになり、残った高い型番しか買えなくなることがあります。欲しい型番が決まっているなら、値段だけでなく在庫の有無も一緒に見てください。
BTO のゲーミングPC も同じ部品でできているので、グラボやメモリの値上がりはいずれ完成品の価格にも乗ってきます。ただ、どのメーカーがいつ価格を改定するかは、それぞれの発表を見るしかありません。
グラボ・ゲーミングPCは今買うか、待つか
「待てば下がるのか」という問いには、今の報道を見る限り、下がる材料は見当たりません。値上がりは 2025 年末から月ごとに続いていて、メモリの高騰が落ち着いたという話もまだ出ていないからです。かといって、値上げの噂を聞くたびに買い急ぐのも違う。分けて考える目安を置いておきます。
| 今の状況 | 考え方 |
|---|---|
| PC が壊れた・仕事や学校ですぐ要る | 必要な構成で今買う |
| 遊びたいゲームの必要スペックに足りない | 足りない部分だけ替えられないか先に見る |
| 今の PC で遊べているが新しいのが欲しい | 急がず、価格と在庫を見ながら決める |
| 今の PC が重くなってきた | 買い替えの前に点検(次の章) |
表の中でいちばん迷うのは 2 行目だと思います。遊びたいゲームの必要スペックにグラボだけが足りないなら、本体ごとではなくグラボの交換で済むことがあります。ただし、電源ユニットの容量やケースに入る長さが足りないと、グラボだけ替えても動きません。交換を考えるなら、今の電源の容量とケースの空きを先に確かめてください。
もう一つ、私が気になっているのは「どうせ上がるなら一番いいものを」と予算を上げてしまうことです。値上がりの時期は、上の型番ほど上げ幅の金額も大きくなりがちです。遊ぶゲームと画面の解像度から、必要な性能を決めて、その分だけ買う。値上がりの時期ほど、この順番が効いてきます。

買い替える前に、今のゲーミングPCで確かめたいこと
「最近重くなったから買い替えたい」という理由なら、新しいものを買う前に、今のパソコンで性能が落ちていないかを見る価値があります。ゲーミングPC が重くなる原因は、グラボの性能不足だけではありません。熱やドライバー、ストレージの状態でも、同じパソコンの動きは大きく変わります。
買い替えを決める前に、これだけ確かめてください。
- ケースの吸気口・排気口やグラボのファンに、ホコリが溜まっていないか
- ゲーム中にファンの音が以前より大きくなっていないか
- グラボのドライバーを最近更新して、そのあとから不調になっていないか
- C ドライブ(ゲームを入れているドライブ)の空きが少なくなっていないか
- ゲーム中に画面が固まる・落ちる・再起動するといった症状が出ていないか
注意:ホコリ取りのときに、電源を入れたままファンに掃除機やエアダスターを当てないでください。ファンが勢いよく回されて、軸を傷めたり、発電した電気が基板に流れたりするおそれがあります。必ず電源を切り、コンセントを抜いてから作業してください。
ドライバーの更新のあとから調子が悪くなったなら、ドライバーを入れ直すだけで戻ることもあります。逆に、ゲーム中に落ちる・再起動するといった症状は、電源ユニットの劣化が絡んでいることもあり、自分で切り分けるのは手間がかかります。
当店の Google のクチコミ(140 件・平均 4.9、2026 年 11 月時点)にも、原因の分からないブルースクリーンが続いて起動もままならなくなった高性能PCが直り、購入したときより静かになった、という声をいただいています。重くなった・不安定になったパソコンが、買い替えではなく修理で戻ることもある、という一例です。

よくある質問
11月にRadeonはどれくらい値上がりしますか?
今のところ値上げ幅は分かっていません。報道は中国のサプライチェーン筋の情報で、金額はまだ決まっていないとされ、AMDも公式には何も発表していません。上がるのはボードパートナー向けの卸値なので、店頭価格が同じ割合ですぐ上がるとも限りません。
NVIDIAのGeForceも値上がりしますか?
今回の報道はAMDのRadeonについてのもので、GeForceの値上げは含まれていません。ただ、Hardware Unboxedの調査ではグラボ全体の平均の販売価格も前月より上がっているので、GeForceを買う予定の人も価格と在庫の動きは見ておいたほうがよいです。
今のゲーミングPCが重くなってきました。買い替えるしかないですか?
必ずしもそうではありません。ホコリによる熱のこもり、ドライバーの不具合、ストレージの空き不足などで動きが重くなっていることもあります。値上がりが続く時期だからこそ、今のPCで直せるところがないか先に確かめてから買い替えを決めるのが、損の少ない順番です。
まとめ
11 月の Radeon 値上げは、AMD がボードパートナーに売る GPU と GDDR6 のセット価格の話で、出どころは中国のサプライチェーン筋です。値上げ幅は未定で、AMD は認めていません。背景には GDDR6 の値上がりがあり、海外の販売価格は 8 月から毎月上がり続けています。日本の店頭にいつ、どれだけ響くかは、まだ分かりません。
だから判断の軸は、噂ではなく自分の用途に置くのがいいと思います。すぐ要るなら必要な分だけ買う。急がないなら、今のパソコンを点検してから決める。点検や部品交換の見立てが必要なときは、ご来店か出張でパソコンを見せてください。











