
BIOS更新で映像の出力先がリセットされ、グラボではなくマザーボード本体のオンボード出力に戻っている
メモリの再調整処理(メモリトレーニング)が裏で走っていて、数分間だけ無反応になっている
CMOSの設定情報が崩れていて、初期化(CMOSクリア)が必要になっている
最近、店の検証用パソコンのBIOSを久しぶりに更新したんですよ。再起動した瞬間、画面が真っ暗になりましてね。「あ、終わった」と。心の中で静かに閉店の準備を始めました。
普段は「BIOSを更新したら画面が映らなくなった」というお客様のパソコンを何十台も診てきた人間が、まさか自分のパソコンで同じ事件を起こすとは思っていませんでした。プロほど自分の足元は見えていないという、よくあるやつです。すいません、自慢のような書き出しで申し訳ないんですが、これ実話です。
で、結論から言うと5分後にはあっさり直りました。原因は、私が勝手に名付けた「GPU家出事件」でした。
BIOSを更新すると、グラフィックボードからの映像出力を優先する設定がリセットされて、パソコンが「あ、グラボの存在、忘れてたわ」みたいな顔をして、マザーボード本体のオンボード出力から映像を出そうとしてしまう。グラボは別に壊れていない。ただ家出して、誰にも見つけてもらえていないだけなんです。今日はこの「GPU家出事件」を中心に、BIOS更新後に画面が映らなくなったときの確認の順番を整理します。よろしくお願いします。
電源を入れた直後、メーカーロゴ(ASUSやMSIなど)が一瞬でも画面に出るかどうかを確認してください。これだけで原因の方向性がだいたい半分決まります。
これはほぼ「GPU家出事件」、つまり映像出力先のリセットです。次の項目に進んでください。
CMOSの設定が崩れている可能性、もしくはBIOSの書き込み自体が途中で失敗している可能性が高くなります。記事の後半に進んでください。
BIOSを更新すると、グラフィックボードを映像出力の優先先とする設定が初期化され、マザーボード側のHDMI・DisplayPort出力に切り替わってしまうことがあります。実際に海外のユーザーフォーラムでも、BIOS更新直後にグラフィックボードからの映像が出なくなり、マザーボード側の直接出力に切り替えることで解決した、という報告が見られます。
パソコンの電源を切り、電源ケーブルを抜いて20〜30秒ほど待つ
モニターのケーブルを、グラフィックボード側の端子から、マザーボード本体側のHDMI・DisplayPort端子に差し替える
電源を入れて、画面が映るか確認する
映ったら、BIOS設定の中の「Primary Display」「Initial Display Output」といった項目をグラフィックボード優先に直し、ケーブルを元の位置に戻す
「家出」した子を見つけて、ちゃんと家(設定)に戻してあげる作業、というイメージで覚えてもらえれば十分です。一度知っていれば、次に同じことが起きても「あ、またあの子か」で済みます。ちなみに私はこれを知っていたのに、自分のパソコンでは5分くらいパニックになりました。知識と冷静さは別腹です。
BIOSを更新した直後は、裏側でメモリの動作設定を再調整する処理(メモリトレーニング)が走ることがあると言われています。この間は画面に何も表示されないまま数分かかることがあり、慌てて電源を切ってしまう人が多いポイントです。
電源を入れたまま、最低でも5〜10分はそのまま待つ
ファンが回っていて電源ランプが点いているなら、まだ作業中の可能性が高いのでそのまま見守る
この「ただいま準備中タイム」に焦って電源を落とすと、設定が中途半端な状態で止まってしまい、状況が悪化することがあります。真っ暗な画面を前に5分待つのは精神的にかなりキツいですが、ここはぐっと我慢してください。
①②を試しても直らない場合、CMOS(BIOSの設定を保存している部分)の情報が崩れている可能性があります。
電源を完全に切り、コンセントを抜く
マザーボード上のボタン型電池を数分間抜いて、また差し戻す
または、マザーボードにある「CLR_CMOS」と書かれたジャンパーピンやボタンを使って初期化する
手順はメーカー・機種によって異なるので、マザーボードの説明書(または型番でのWeb検索)で確認しながら進めてください。CMOSクリアは「設定を工場出荷時に戻す」作業なので、自分で変更したBIOS設定(XMP・EXPOなどのメモリ設定を含む)も一度リセットされます。直った後は、必要な設定だけ入れ直してください。
ここで少しだけ真面目な話をします。BIOSというのは、Windowsが起動するよりも前の段階で動いている、いちばん土台に近いプログラムです。OSのアップデートと違って「失敗したら元に戻す」ためのハードルが本質的に高い。メーカー側もかなり慎重にテストしているはずなのに、それでも事故が起きるのは、マザーボード・メモリ・グラフィックボードの組み合わせが一台一台ぜんぶ違うからです。工場で全パターンを検証しきれない以上、ある意味「最後の検証をしているのはユーザー自身」という側面が、今のパソコンにはまだ残っています。
……と、ここまで偉そうに語りましたが、これ以上掘ると話が重くなりすぎるのでやめておきます。さっき自分のパソコンで5分パニックになった人間が言うことではない気もしてきました。
①〜③を試しても全く反応がない場合、BIOSの書き込み自体が途中で失敗している可能性があります。多くのマザーボードには、USBメモリから直接BIOSデータを書き込み直せる復旧機能が搭載されています(メーカーによってFlashBack・Q-Flash・CrashFree BIOSなど名称は異なります)。お使いのマザーボードの型番と「BIOS復旧」で検索してみてください。
ここまでやって動かない場合は、申し訳ないですが「家出」ではなく本当の故障の可能性が出てきます。データを壊さずに見極める作業になるので、ここからはお店にお持ちいただくのが安全です。
「GPU家出事件」の可能性が高いです。モニターのケーブルをマザーボード側のHDMI・DisplayPort端子に差し替えて、画面が映るか確認してください。
CMOSクリアを試してください。マザーボードのボタン電池を数分抜いて戻すか、CLR_CMOSのジャンパーピンを使うことで、設定が初期化されて起動することがあります。
BIOSの書き込みが途中で失敗している可能性があります。多くのマザーボードにはUSBから復旧できる機能がありますが、それでも直らない場合はお持ちください。
言いたいことは言い切りました。画面が真っ暗になっても、グラボはたぶん家出してるだけです。みんなも「GPU家出事件」が起きたら、慌てずに、ちゃんと家に迎えてあげてください!!
「BIOSを更新したら起動しなくなった」「CPUを換装したら画面が映らない」——こういったご相談は、データを壊さずに原因を切り分けるのがポイントです。まずはご相談から、お気軽にどうぞ。
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