
ここ最近、会社へのAI導入のご依頼が、ものすごく増えています。入り口になっているのは、最近の情報漏えいのニュースや、サーバーへの攻撃への心配です。そこから会社の Wi-Fi ルーターを見直し、NAS を入れ、これから AI サーバーを入れる。この流れのご依頼が、とても多くなっています。
私たちも、ここまで需要が増えるとは思っていませんでした。この記事では、ご依頼の流れと Windows 10 の扱い、そして当店が AI エージェントをどう考えているかを、これまでの記事と合わせて 1 本にまとめます。
先に結論:当店への AI 導入のご依頼は、情報漏えいとサーバーへの攻撃への心配から始まり、会社の Wi-Fi ルーター、NAS、AI サーバーの順に見直していく流れが多くなっています。
AI エージェントは、当店から強く勧めるものではありません。お話をうかがったうえで、QR コードでの商品管理、位置や巡回を記録するタグ、仕事ごとの AI エージェントのうち、どの形が合うかをお伝えしています。
AI導入のご依頼は、ルーターと NAS の見直しから始まる
増えているのは、次の順番で進むご依頼です。最初に見直すのは、会社とインターネットの出入り口になっている Wi-Fi ルーターです。その次が、会社のデータを社内に置いて共有する NAS。最後に、AI を社内で動かす AI サーバーです。
| 順番 | 見直すもの | 役割 |
|---|---|---|
| 1 | Wi-Fi ルーター | 社内とインターネットの出入り口 |
| 2 | NAS | 会社のデータを社内に置いて共有する |
| 3 | AI サーバー | AI を社内のコンピューターで動かす |
ルーターは、どのメーカーの製品でも脆弱性が見つかる機器です。危険を分けるのはメーカーの名前より、サポートが続いている機種を使い、更新を放置しないかどうかです。このことは、TP-Link の脆弱性の報道から、ルーターの危険性を考えた記事に書きました。
NAS と AI サーバーは、どちらもデータを社外のサービスに預けず、自分のところに置いたまま使うための機械です。NAS はファイルを、AI サーバーは AI の処理を、社内で受け持ちます。
用語:AI サーバーとは、AI をインターネットの向こうのサービスではなく、社内に置いたコンピューターで動かすための機械です。社内の書類や数字を、外のサービスに送らずに AI で扱えます。
当店では、この AI サーバーを BTO のパソコンで組んでいます。ご依頼の増え方に追いつくために、いまは急ピッチで組み上げ、導入を進めているところです。
サーバーへの攻撃の心配は、ほかの会社だけの話ではありません。当店も先日、店のサーバーと Web サイトを点検し、その結果をご報告しました。調べた範囲で不正アクセスの痕跡は見つかりませんでしたが、攻撃そのものは日常的に届いていました。

点検で見つかった課題はその場で直し、異変にすぐ気づくための仕組みも加えました。何をしたのかは、こちらの報告にまとめています。
AI導入とは別に、Windows 10 のままの会社は今すぐ入れ替えるべき?
Windows 10 については、2025 年の 10 月あたりから、駆け込みのようにご依頼が一気に増えました。今のところ落ち着いたように見えますが、いまも Windows 10 を使っている方はいらっしゃいます。
当店でも Windows 11 へのご案内はしています。ただ、11 への入れ替えを強制してはいません。

そのうえで、期限の事実は押さえておいてください。会社で使っているパソコンは、個人のパソコンと扱いが違います。
Windows 10 のサポートは 2025 年 10 月 14 日に終了した。個人向けの延長セキュリティ更新(ESU)は 2027 年 10 月 12 日に終わり、業務(商用)の用途には使えない。Active Directory のドメインに参加している PC や、MDM で管理されている PC も対象外とされている。
出典:Microsoft「Windows 10 Consumer Extended Security Updates (ESU)」
ここ、見落としがちです:「Windows 10 は 2027 年まで使える」という話は、個人向けの延長を指しています。会社の仕事に使うパソコンには使えず、法人向けには別に有料の ESU が用意されています。会社のパソコンを Windows 10 のまま使い続けるなら、どちらに当たるかを先に確かめてください。
入れ替えるか、使い続けるかの判断を、お客様の側でしていただく。この今の形は、私たちにとっても今後の課題です。
個人向けの延長の受け方や、会社のパソコンが対象外になる条件は、こちらの記事でくわしく書いています。
AI エージェントで多いご相談は、引き継ぎ・高齢化・AI の理解
AI エージェントについて、お客様からとても多いお問い合わせが 3 つあります。どれも AI の性能の話ではなく、会社の人の話です。
用語:AI エージェントとは、質問に答えるだけでなく、自分で手順を考えて、ファイルの作成や送信などの作業まで行う AI のことです。ChatGPT に話しかけて答えをもらう使い方から一歩進み、仕事の一部を受け持たせる形になります。
1. 引き継ぎのできる社員が減った
1 つ目は、仕事を引き継げる社員が減ってきた、というものです。引き継ぎをしても、その社員がすぐに辞めてしまう、というお話もあります。
2. 高齢化で、引き継ぎがさらに難しくなった
2 つ目は、高齢化が進んできたことです。これはパソコンを使える・使えないの問題ではありません。1 つ目の引き継ぎそのものに、かなりの困難が出てきています。
仕事のやり方や機器の設定を分かっている人がいない現場で何が起きるかは、以前の記事に書きました。ネットワークの構成図も各機器のパスワードも無い会社で、触った設定をすべて元に戻して帰ってきた話です。
3. ChatGPT は使っていても、AI エージェントまでは進まない
3 つ目は、AI のいわゆる理解が乏しいことです。ChatGPT などを使った方法は、皆さん取り入れています。ただ、AI エージェントとなると、重い腰が上がらないようです。
そもそも AI エージェントで何ができるのか分からない、という段階の方もいらっしゃいます。そこで当店では、一度お話をうかがってから、どのような形を取るべきかをお客様にお伝えしています。
ヒアリングのあとにお伝えしている 3 つの形
お話をうかがったあとにお伝えしている形は、主に次の 3 つです。AI エージェントだけではありません。1 つ目と 2 つ目は、物や場所の情報を記録に残す仕組みです。
| 形 | 中身 |
|---|---|
| QR コードの商品管理 | QR コードなどを使って商品を管理する |
| 位置・巡回のタグ | 倉庫の棚の位置を知らせる。現場の巡回ルートを記録する |
| AI エージェント | 経理や設計の仕事を受け持つエージェントを、仕事ごとに作る |
2 つ目のタグは、倉庫の棚のどこに何があるかを知らせたり、現場をどの順番で回ったかを記録したりするものです。場所や順路を、人の記憶ではなく記録として残せます。
3 つ目は、経理や設計士の仕事など、これまで社員が担ってきた仕事を受け持つエージェントを、いくつも作る形です。狙いは、社員にかかるコストを抑えることにあります。
AI を業務の中に組み込む考え方は、AI を「使う」のではなく「雇う」ものとして書いた以前の記事に、くわしく書いています。
AI の導入は安くない。人件費と並べて判断する
当店は、AI の導入を強く勧めているわけではありません。費用の面でも、AI の導入は決して安いものではありません。
ただ、人件費と考えれば、非常に有力なものではないかと私は思っています。比べる相手は機械の値段だけではなく、その仕事に人を充てたときにかかる費用です。

入れると決めた場合も、速さの裏にある落とし穴は知っておいてください。確認しないまま回る資料や、会社に知らせずに使われる AI サービスからの情報漏えいについては、AI 活用の落とし穴と守り方をまとめた記事に書きました。
AI エージェントに経理などを任せるなら、どの情報をどこまで扱わせるかを、入れる前に決めておく必要があります。社内の数字を外のサービスに送らずに扱いたいなら、先に書いた NAS や AI サーバーを社内に置く形が候補になります。
メモ:この記事で挙げた 3 つの形は、当店がお話をうかがったあとにお伝えしている例です。どの形が合うか、どれも入れないかは、会社ごとに変わります。費用も中身によって変わるため、この記事では金額を書いていません。
よくある質問
会社の AI 導入は、何から見直せばいいですか?
当店へのご依頼では、会社の Wi-Fi ルーターの見直しから始まり、NAS、AI サーバーの順に進む流れが多くなっています。情報漏えいやサーバーへの攻撃への心配から、まず社内とインターネットの出入り口になっているルーターを見直す形です。
AI エージェントと ChatGPT は何が違いますか?
AI エージェントは、質問に答えるだけでなく、自分で手順を考えて作業まで行う AI です。ChatGPT に話しかけて答えをもらう使い方から一歩進み、経理などの仕事の一部を受け持たせる形になります。
会社の Windows 10 パソコンも、2027 年まで延長できますか?
個人向けの延長(ESU)は使えません。Microsoft の案内では、個人向けの ESU は業務での利用には使えず、ドメインに参加している PC や MDM で管理されている PC も対象外です。法人向けには、別に有料の ESU が用意されています。
まとめ
AI 導入のご依頼は、情報漏えいや攻撃への心配から始まり、ルーター、NAS、AI サーバーへと進んでいます。Windows 11 への入れ替えは強制せず、AI エージェントも当店から強く勧めるものではありません。入れるかどうかは、どちらもお客様に判断していただいています。
AI エージェントが合うかどうかは、引き継ぎや高齢化の事情をうかがってからお伝えしています。ご来店か出張で、お話をお聞かせください。ご来店は 8:30〜19:00(日曜定休)です。













