
Windows11の緊急パッチ「KB5129195」が配信されました。9月のWindows Updateのあと「リモートデスクトップに繋がらない」「急に音が出ない」「サインインしたら画面が真っ暗」と、パソコンが一斉に機嫌を損ねた件への、Microsoftからのお詫びの品です。
ところがこのお詫びの品、全部は直してくれません。直ったものと、まだ教室に残されている症状がはっきり分かれています。私はこの残された側を、勝手に「居残り組」と呼ぶことにしました。
先に結論:KB5129195で直ったのは、リモートデスクトップの接続不良、USB機器の多チャンネル音声、WSLなどのフォルダー共有の3つです。音がまったく出ない症状(コード10)、Explorerの停止による黒画面、ファイル履歴の不具合、AMD Radeonの黒画面・フリーズは、2026年9月16日時点でまだ直っていません。
Windows 11 24H2と25H2では自動で入る必須の更新なので、まず入っているかを確かめ、それでも症状が残るなら応急処置で乗り切るのが現実的です。
Windows11の9月更新で何が起きた?
発端は、日本時間9月9日に配信された月例のセキュリティ更新「KB5124008」です。タスクバーの位置を動かせるようになるなど、見た目の話題も多い大型の更新でした。その裏で、一部のパソコンでは次のような症状が報告されました。
- リモートデスクトップに接続できない、サインインの途中で止まる
- USB接続のスピーカーやヘッドセットで音が出ない
- サインイン直後にExplorerが落ち、デスクトップもタスクバーも出ない
- ファイル履歴が外付けドライブを見つけられない
- AMD Radeon搭載機で、ゲーム中でなくても黒画面やフリーズが起きる
なぜ今月はこんなに荒れたのか。海外メディアのWindows Latestは、9月の更新で直した脆弱性が974件と過去に例のない数だったことに注目し、AIで見つけた穴を大量にふさいだ副作用ではないかと見ています。昨年9月は86件だったので、単純に10倍以上の工事を一度にやったことになります。
工事が大きければ、どこかの配管がずれるのは家でもパソコンでも同じです。ただ、これはMicrosoftが認めた原因ではなく、あくまで報道の見立て。このへんで推理はやめて、手元のパソコンの話に戻ります。
用語:定例外更新とは、毎月第2火曜日(日本では翌水曜日)の定期配信を待たずに、Microsoftが緊急で出す更新プログラムのことです。英語では「Out-of-band(OOB)」と呼ばれ、今回のKB5129195もこれに当たります。
KB5129195で直った不具合と「居残り組」
KB5129195は、米国時間9月14日(日本では15日)に配信されました。9月の更新の中身も含んだ累積更新なので、これ1本を入れればセキュリティは最新の状態になります。直ったものと直っていないものを表にまとめました。
| 症状 | 修正状況 | 起きやすい環境 |
|---|---|---|
| リモートデスクトップに繋がらない | 修正済み | RDSを使うPC |
| USB機器で多チャンネル音声が出ない | 修正済み | 8ch・3Dオーディオ使用時 |
| WSLなどで共有フォルダーが見えない | 修正済み | WSL・Claude Cowork |
| USB機器で音がまったく出ない(コード10) | 調査中 | USB Audio Class 1.0の機器 |
| サインイン後に画面が真っ暗 | 未修正(報告ベース) | Citrix・FSLogixなどの企業環境 |
| ファイル履歴が外付けを認識しない | 未修正(報告ベース) | ファイル履歴を使うPC |
| 黒画面・フリーズ | 未修正(報告ベース) | Radeon RX 6000〜9000番台の一部 |
表の上3行は、パッチを入れれば終わる話です。リモートデスクトップの不具合を避けるためにグループポリシーで回避策を入れていた場合も、元に戻す必要はないとMicrosoftは案内しています。
ややこしいのが音の不具合です。「音の不具合は直った」とだけ聞いてパッチを入れ、それでも鳴らないと、自分のパソコンだけ壊れたように感じてしまいます。
USBオーディオの問題のうち今回解決したのは、ステレオでは鳴るのに8チャンネルや3Dオーディオを使うと失敗する症状だけ。デバイスマネージャーに「コード 10」が出て音が出ない症状は、引き続き調査中(緩和済み)の扱いで、影響範囲はWindows 10やWindows Serverにも広がっています。
出典:窓の杜「Microsoft、Windowsの9月パッチで発生した不具合に緊急対処」
つまり「音が出ない」と一口に言っても、直った音と直っていない音がある。居残り組の中でも、いちばん勘違いされやすいのがこの子です。

KB5129195が入っているか確かめる手順
Windows 11 24H2と25H2では、KB5129195は適用必須のセキュリティ更新として自動でダウンロード・インストールされます。入っているかどうかは、OSビルドの番号で確かめるのが確実です。
- スタートボタンを右クリックし、「設定」を開きます。
- 「システム」を選び、いちばん下の「バージョン情報」を開きます。
- 「Windowsの仕様」にある「OSビルド」の数字を確認します。
- 25H2なら26200.9457、24H2なら26100.9457以上になっていれば適用済みです。
- 数字が小さいときは「設定」→「Windows Update」で「更新プログラムのチェック」を押し、インストール後に再起動します。
再起動は通常1回で終わります。ただし、セキュアブートの証明書やファームウェアの更新が同時に控えているパソコンでは、何度か再起動を繰り返すことがあります。途中で電源ボタンを押したくなっても、ここはじっと待ってください。
メモ:Windows 11 23H2(KB5129242)とWindows 10 22H2(KB5129236)では、今回の更新は任意の扱いで、自動では入りません。「更新プログラムのチェック」のあと「ダウンロードしてインストール」を押す必要があります。また、WSLのフォルダー共有の不具合でグループポリシーの回避策を入れていた場合は、先に元へ戻してから更新を入れ、再起動します。
不具合が怖いからといって、更新を止めたままにするのはおすすめしません。KB5129195には、Windowsの電源管理サービスにある特権昇格の脆弱性(CVE-2026-62721)の追加修正も入っています。

居残り組の症状が出たときの応急処置
ここからは、KB5129195を入れても残る4つの症状への対処です。どれもMicrosoftの修正待ちなので、目指すのは「根本解決」ではなく「修正が届くまで困らないこと」です。
USB機器で音がまったく出ないとき
デバイスマネージャーでオーディオ機器のプロパティを開き、「このデバイスを開始できません(コード 10)」と出ていれば、この不具合の可能性が高いです。Windowsは機器を見つけているのに、動かせていない状態です。
影響を受けているのはUSB接続の機器なので、修正が出るまではパソコン本体のスピーカーやイヤホン端子、Bluetoothのヘッドホンに切り替えるのがいちばん手早い回避策です。マイクが使えなくなったという報告もあるので、オンライン会議の予定がある人は前日に一度試しておくと安心です。

サインイン後に画面が真っ暗なとき
Explorerが起動しない、または起動直後に落ちる症状です。報告の多くはCitrixやFSLogixなど、会社でプロファイルを管理している環境なので、家庭のパソコンで出ることは多くありません。画面が真っ暗でもマウスカーソルが動くなら、次の手順でExplorerを起こせます。
- キーボードの「Ctrl」「Shift」「Esc」を同時に押し、タスクマネージャーを開きます。
- 画面上部の「新しいタスクを実行する」を押します。
- 「explorer」と入力して「OK」を押すと、デスクトップとタスクバーが戻ります。
会社のパソコンでこの症状が出たら、自分で設定をいじる前に社内の管理担当に伝えてください。Microsoftの担当者が、原因を突き止めるためのメモリダンプの提供を呼びかけている段階です。
ファイル履歴が外付けドライブを認識しないとき
ファイル履歴は、外付けドライブにファイルの古い版を残しておける、地味だけれど頼れるバックアップ機能です。9月の更新のあと、ドライブをつないでいるのに見つけられないという報告が増えています。
ここ、見落としがちです:ファイル履歴は止まっても大きな警告を出さないため、「バックアップは毎日取れている」と思い込んだまま数週間過ぎることがあります。修正が出るまでは、大事なフォルダーを外付けドライブへ手でコピーしておくと、いざというときに空振りしません。
AMD Radeonで黒画面・フリーズが起きるとき
報告があるのはRadeon RX 6600、RX 7700 XT、RX 7800 XT、RX 7900 GRE、RX 7900 XTX、RX 9070 XTなどで、特定の1機種の問題ではありません。ドライバーが応答しなくなり、最悪の場合は画面そのものが消えます。
困ったことに、古いグラフィックドライバーに戻しても改善しないという声が多く、ドライバーより更新プログラムの側が疑われています。KB5129195の修正一覧にもこの症状は載っていません。
注意:固まるたびに電源ボタンの長押しで切ると、保存途中のファイルや、書き込み中だったシステムのファイルが壊れることがあります。症状が出やすい作業の前はこまめに保存し、固まってもまず1〜2分待って、戻らないときだけ強制終了してください。
更新プログラムをアンインストールすれば症状が消える可能性はありますが、9月分のセキュリティ修正もまとめて外れてしまいます。ゲーム中に落ちる症状がほかの原因で起きている場合もあるので、切り分けの考え方は次の記事も参考にしてください。
黒画面が毎日のように出る、Radeon以外のパソコンでも同じことが起きる、という場合は、更新とは関係のない故障が隠れていることもあります。

よくある質問
KB5129195は自動でインストールされますか?
Windows 11 24H2と25H2では、適用必須のセキュリティ更新として自動でダウンロード・インストールされます。Windows 11 23H2とWindows 10 22H2では任意の更新なので、設定のWindows Updateから手動で入れる必要があります。
KB5129195を入れても音が出ないのはなぜですか?
今回直ったのは、USBオーディオ機器で8チャンネルや3Dオーディオなどの多チャンネル機能が使えない症状だけだからです。デバイスマネージャーに「コード 10」が出て音がまったく出ない症状は、Microsoftが引き続き調査しています。
AMD Radeonの黒画面はKB5129195で直りますか?
直りません。2026年9月16日時点で、KB5129195の修正内容にこの症状は含まれておらず、古いグラフィックドライバーに戻しても改善しないという報告が出ています。
まとめ
KB5129195は、リモートデスクトップ、USBの多チャンネル音声、WSLのフォルダー共有を直してくれる、入れておくべき更新です。一方で、コード10の無音、Explorerの黒画面、ファイル履歴、Radeonの黒画面という居残り組は、まだ教室に残っています。
居残り組が帰れるのは、Microsoftが次の修正を出したときです。それまでは、自分の症状がどの行に当たるかを見極めて、応急処置でしのいでください。更新を止めるより、更新を入れて居残り組とうまく付き合うほうが、パソコンは安全です。切り分けに迷ったら、店頭でも一緒に見立てをお手伝いします。









