
最近、市内の広報をすみずみまで読むのが密かな趣味になっている本田です。PC屋の店長が、家でひとり広報の求人ページを熟読している。我ながら、どういう画ですか。
で、その広報の中に、ハローワークの職業訓練——「ハロートレーニング」の受講生募集が載っていまして。今までWordとExcelだけだった講座に、なんと生成AIの活用が入っていたんですよ。20名募集、実技194時間でAIを習得、と。
これ、素晴らしいことです。本気でそう思います。行政がAIを“就職に必要なスキル”として正式に認めた、その第一歩なわけですから。
……なんですが。私、これを読んで、いま仕事を探している人に、どうしても伝えたいことが一つできてしまいました。今日はその話をします。ちょっとだけ熱くなります。ご容赦ください。
いきなり残酷なことを言います。すみません。
その194時間、絶対に無駄じゃないです。むしろ入口として最高です。でも——AIって、進化が異常に速いんですよ。どのくらい速いかというと、講座で習った内容が、修了証をもらう頃にはもう古くなっているレベルで速い。去年の常識が、今年には「昔はそうでしたね」になる世界です。
だから、資格を取ることをゴールにすると、たぶん詰みます。資格は「持っている証明」です。でもAIは、証明書をもらった瞬間に価値が止まるものじゃない。回し続けていないと、その場で錆びる。
資格は静止画。AIは動画。止めたら終わり。ここ、テストに出ます。
さて、ここまで読んで「じゃあどうすりゃいいんだよ」と思った求職中のあなた。朗報です。
あなた、いま他の人より圧倒的に時間があります。
働いている人は、日中にAIをいじる時間なんてありません。帰ってきてクタクタで、そこからAIの練習? 無理です。でも仕事を探している今のあなたには、その時間がある。
私はこれを勝手に「求職者ボーナスタイム」と呼んでいます。ネガティブに聞こえる「無職の期間」。でも見方を変えれば、これは人生でそう何度もない、まとまった時間を自分の武器づくりに全振りできる期間なんです。RPGでいう、レベル上げし放題のフィールドにいる状態。ここでサボるか回すかで、就職後のスタート地点がまるごと変わります。
大事なのは、AIとおしゃべりして満足しないこと。チャットで「〜って何?」と聞くのは、AIの1割も使えていません。本当の力は、自分の身近な作業をAIに丸ごと投げたときに出ます。
例えば——会社のフォルダに散らばったファイルから数字を抜き出して、売上表にまとめる。今まで手作業でやっていたこの手の仕事。これ、AnthropicのClaudeなら「Cowork(コワーク)」という機能で、ChatGPTなら「Codex」という機能で、自分のパソコンのファイルを実際に触らせながら回せます。チャットで相談するのとの差は、料理の“レシピを読む”と“実際に作る”くらい違います。
そしてもう一つ、正直に言っておきます。
店長より
これ、本気で回すなら基本的にお金がかかります。無料枠でできることもありますが、月3,000円くらいから。悔しいですが、これからは「課金できる人」と「できない人」で差が開いていきます。
私が求職中の人に伝えたいのはここです。スマホのガチャや、パチンコに月3,000円溶かせるなら、その3,000円をAIに入れてほしい。同じ3,000円でも、片方は消えて、片方はあなた自身の性能を上げます。
いま「課金格差だ」「差が開く」なんて社会派みたいなことを語ってきましたが。いや、待てよ、と。PC屋の店長が広報を読んで一人で熱くなって、いつの間にか“AI時代の格差論”をぶち上げている。この画、冷静に見るとかなり変です。哲学者か。
話が大きくなりすぎるのでここで止めます。私が言いたいのは、もっと地に足のついた、シンプルな一点だけです。「習うだけで終わらせず、自分の手で回してください」——本当にこれだけ。
土木・建築の現場ですら、AIを使う人と使わない人で、もう明確に差が出ています。報告書作成の手間が消えるだけで、1日の労働力がまるごと浮く。使う人は、人数を減らしてでも仕事を回せてしまう。この波は、業界を問わず来ます。
「AI使えます」は、正直もう弱いです。刺さるのは「AIで、この作業を回してました」の一言。職種別に、家で練習できて、そのまま面接で言えるやつを置いておきます。自分に近いものから1つ、試してみてください。
レシートや領収書の束を写真で読み込ませて、経費の一覧表に自動整形。会議の録音を文字起こしして、要約と“やることリスト”まで一発で作る。月末と会議後の面倒が、まるごと消えます。
お客様への返信メールや提案文の下書きを、一気に何パターンも生成。顧客リストを「地域別」「取引額別」でサッと仕分け。“言葉を選ぶ時間”と“整理する時間”が激減します。
現場の写真と走り書きのメモを渡して、作業報告書・日報の下書きを自動作成。現場から帰ってきた後の“もう一仕事”が、10分で終わるようになります。ここは効果がとにかく大きい。
在庫や出荷のデータ表を整理して、おかしな数字(打ち間違い・異常値)を洗い出す。分かりにくい手順書を、新人でも読める文章に書き直す。“地味だけど効く”仕事が得意です。
商品紹介文やSNS投稿文を、切り口を変えて量産。お客様レビューをまとめて「よく褒められる点・不満点」を抽出し、次の一手を考える。“売る言葉”を作るのが速くなります。
どれも、いま家のPCで練習できます。そして面接でこの一言を言えたら——採用担当、たぶん前のめりになります。
ここまでは「就職した後」の話でしたが——実は仕事の探し方そのものが、もう変わっています。
「自分の経験だと、どんな求人が向いてる?」「この求人票、本当は何ができる人を欲しがってる?」——こういうのをAIに整理させると、闇雲に応募して疲れる時間がまるごと減ります。求人探しは、もう“気合いと数”の勝負じゃないんです。
そして、職務経歴書と履歴書。これ、AIで作れます。しかも——ノートパソコンって、たいていマイクがついてますよね。あれに向かって、自分の経歴を“喋るだけ”でいいんです。
店長より
マイクに向かって「前職では〜をやってました」と喋るだけで、AIが職務経歴書の下書きを作ってくれます。手も疲れないし、自分の言葉がそのまま出る。しかも面接で話す練習にもなる。一石三鳥です。
これ、コードを書くときに使う「バイブコーディング」——作りたいものを声で伝えて、AIに形にしてもらうやり方——の応用です。キーボードで一文字ずつ悩むより、喋った方が早いし、正直で、あなたらしい経歴書になる。そして経歴書を“喋って作る”練習は、そのままAIを使いこなす練習になります。求職活動しながら、実力が上がっていく。これ以上おいしい話はありません。
職業訓練でAIを習うのは、大正解です。行きましょう。でも、修了証を額に入れて満足したら、そこで止まります。
正直に言うと——いま働いている人たちは、もうこの先を走っています。追いつくには、その人たち以上に手を動かすしかない。厳しいですが、これが現実です。
でも、逆もあります。まだAIを実践していない会社・部署に入れたなら、AIを回せるあなたはそこで唯一無二の存在になれる。「あなたがいないと困る」と言われる人になれます。
仕事って、結局そういうものだと思うんです。自分の強み(スキル)を最大限に生かして、その会社になくてはならない存在になる。それだけ。だから——さっさとスキルを磨いてください。
あなたには時間がある。求職者ボーナスタイムがある。その時間を自分のPCで死ぬ気で回した人が、就職したその瞬間に“覇者”になります。暇を、武器に変えてください。いまのあなたにしかできない修行です。
苫小牧で「AIって結局どう始めればいいの?」と迷ったら、ピシコに相談しに来てください。就活中の方の“最初の一歩”、一緒に考えます。
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