
こんにちは、ピシコの店長です。最近、SNSで「Claude Fable 5」というAIモデルがとんでもなく話題になっています。「ポケモンを目だけでクリアした」「5000万行のプログラムを1日で書き換えた」など、にわかには信じられないような内容がバズっていて、お客様からも「これって本当なんですか?」というお声をいただくことが増えました。今日はこの話題を、パソコンに詳しくない方にもわかるように、店長の目線で整理してみたいと思います。
この記事で取り上げる「Claude Fable 5」というAIは、2026年6月18日現在、一般の利用ができない状態になっています。話題になったのは6月9日の発表直後でしたが、わずか3日後の6月12日に、提供元のAnthropic社が利用を停止しました。理由は後ほど詳しくご説明しますが、まずこの前提を知っておいていただくと、ネット上の情報に振り回されずに読み進めていただけると思います。
パソコンのお店をやっていると、こういう「AIの新製品が出た」というニュースは正直しょっちゅう目にします。ただ今回は規模も話題性もこれまでと少し違ったので、せっかくの機会に、皆さんと一緒に「何が起きたのか」を落ち着いて見ていきたいなと思いました。
順を追ってお話しします。6月9日、AI開発企業のAnthropic社が「Claude Fable 5」という新しいAIモデルを公開しました。これは同社にとって最上位クラスにあたる「Mythos(ミトス)級」というカテゴリーの中で、初めて一般の人が使えるようになったモデルです。発表内容には、確かに目を引くものがたくさんありました。
古いゲームソフトを、攻略情報なしで画面の映像だけを見て最後までクリアしたと発表されました。これまでのAIは追加の補助ツールが必要でしたが、今回は「見る」だけでやり遂げたという点が驚きでした。
決済サービス会社のStripe社が、5000万行という非常に大規模なプログラムの移行作業を、AIに1日でやらせたと報告しています。通常は専門チームが2か月以上かけて行う作業だそうです。
発表時点では、1000時間以上の検証で「誰にも突破されなかった」とされていました。AIの安全対策としては、かなり強気な表現だったのが印象的でした。
こうした内容がSNSで「○○個の驚きの事実」のような形でまとめられ、短期間で大きく拡散しました。今回ご質問をいただいた記事も、こうした公式発表の内容をもとに作られたもので、書かれている出来事自体は実際にあったことです。ただ、記事の見出しの付け方や「今すぐ試して」という煽り方には、バズらせるための工夫がかなり入っていた、というのが店長の率直な感想です。
せっかくの機会なので、今回バズった投稿そのものの「作り」についても少し触れておきます。情報の内容自体は公式発表に基づいていましたが、読み手の興味を最後まで引っ張る構成には、いくつか共通する工夫が見られました。
冒頭で「話題になっているけれど、実際の内容を読んでいる人は少ない」という切り出しをして、自分は公式資料を読み込んだうえで紹介している、という立場を最初に示していました。読み手に「自分はまだ知らない側かもしれない」と感じさせる、よくある引きの作り方です。
ゲーム攻略やコード移行の話を含め、合計10個の事例を「○番目」という形で次々に紹介していく構成でした。一つひとつは公式発表に書かれている内容ですが、短い見出しで畳みかけることで、読んでいる間ずっと驚きが続くような勢いを作っていました。
10個の事例それぞれに対応する形で、読者が自分のパソコンで実際に試せる指示文(プロンプト)の例も並べていました。「言われたことをそのまま信じなくていい、自分で確かめられる」という体裁にすることで、説得力と参加意識を両方持たせる作りになっていたのが印象的でした。
投稿の終盤では「残り13日間だけ無料で使える」という期限を強調し、今すぐ試すよう促す内容になっていました。期限を示して背中を押す手法自体は珍しいものではありませんが、後述するとおり、実際にはこの期限を迎える前にサービス自体が止まってしまいました。
記事の最後には、利用したデータが安全確認のために一定期間保管される、という公式の方針を「これを知らずに使うと危ない」という切り口で紹介していました。これも事実に基づく内容ではありますが、不安をあおる見せ方になっていた点は、読む側として少し注意したいポイントです。実際には、保管されたデータは安全対策以外の目的には使われず、人がアクセスした記録も残し、一定期間後にはほとんどの場合削除される、という運用方針もあわせて公式に説明されています。
こうして並べてみると、嘘が書かれていたわけではないんですよね。ただ「驚きを途切れさせない並べ方」「自分で確かめさせる仕掛け」「期限を切って急かす一言」「最後に不安を残して終わる構成」と、読み手の感情を動かすための工夫がいくつも重なっていました。ネットの情報を読むときは、書かれている事実そのものと、その見せ方の工夫を、少し分けて見る習慣をつけておくと安心だと思います。
ここが今回の話の核心部分です。なぜ、あれだけ話題になったAIが、たった3日で使えなくなってしまったのでしょうか。Anthropic社が公開している説明によると、経緯はこのようなものでした。
Pro・Max・Team・Enterpriseなど、契約しているプランのユーザーであれば、追加料金なしで使えるようになりました。
国家安全保障に関わる権限を理由に、外国籍の利用者によるFable 5とMythos 5の利用を停止するよう、アメリカ政府から指令が出されました。技術的にアメリカ国籍の人だけを区別することができないため、結果的に全利用者へのサービスが止まる形になりました。
Anthropic社は指令に従って提供を停止しましたが、同時に「これは誤解に基づくものだと考えている」という反論も公表しています。政府が問題視した手法は、特定のプログラムを読み込ませて不具合を直してもらうという、ごく一般的な使い方に近いもので、他の主要なAIでも同様のことができると説明しています。
つまり、AIの性能そのものに新しい欠陥が見つかったわけではなく、「想定より簡単に安全対策を回避できる方法が見つかったかもしれない」という政府側の懸念がきっかけになったということです。Anthropic社としては、この対応がAI業界全体の新しいモデル公開を止めてしまうほど厳しすぎるものだと懸念を示しており、双方の見解にはまだ食い違いがある状態です。
ここで皆さんにお伝えしたいのは、「だからAIは危険だ」という話ではないということです。むしろ逆で、新しい技術を世に出すときには、こういう慎重なブレーキの掛け合いがちゃんと行われている、という事例として見ていただくのがいいかなと思います。性能の話だけでなく、こうした「安全性をめぐる駆け引き」の部分も含めて知っておくと、ニュースの見え方が変わってきますよ。
パソコン初心者の方が一番気になるのはここだと思います。今、自分が使っているAIサービスに何か影響が出ているのか、ということですね。結論からお伝えすると、影響範囲はかなり限定的です。
| 項目 | 現在の状況 |
|---|---|
| Claude Fable 5 / Mythos 5 | 利用停止中(2026年6月18日現在) |
| その他のClaudeモデル(Opus・Sonnetなど) | 通常どおり利用可能 |
| 無料期間の話(6月22日まで) | 停止中のため現時点では該当せず |
| 復旧の見通し | 「できるだけ早く復旧したい」と発表されているが、具体的な日付は未定 |
つまり、もし今このタイミングで「Claude Fable 5、6月22日まで無料らしいから今すぐ試そう」とアクセスしても、目当てのモデルにはたどり着けない、ということになります。バズった記事を読んで「今すぐ試せる10個のテスト」を実践しようとしても、現状ではこのモデル自体が選べないはずですので、もし試そうとして「あれ、出てこないぞ」と困った方がいたら、故障やお使いの端末の不具合ではなく、サービス側の事情だとご安心いただければと思います。
今回の件、店長としては「サービスが止まった」という事実だけでなく、その手前にあった発表内容そのものは、純粋に面白い試みだったなと感じています。たとえば、画面の映像だけを見て古いゲームを攻略する、という話は、AIが「読む・聞く」だけでなく「見て判断する」ことが急速に得意になってきていることを示しています。これは将来的に、パソコンの操作画面を見せるだけでAIに困りごとを伝えられるようになる、といった可能性にもつながる話です。
また、大規模なプログラムの書き換えを短時間でやってのけたという話は、ソフトウェアの開発や保守のスピードが今後さらに上がっていくことを示しています。皆さんが普段使っているアプリやサービスが、裏側でこうした技術によってどんどん改善されていく、という未来は、決して遠い話ではなさそうです。
一方で、今回のように「強力すぎる技術には、それに見合った慎重な扱いが必要になる」という側面も、同時に進んでいます。性能の進化と、安全に使うための仕組みづくりは、いつもセットで動いているということですね。今回のサービス停止が解除されて、Fable 5(あるいは形を変えた後継のモデル)が再び使えるようになったときには、このブログでも改めて使い心地をレポートしたいと思っています。
こういうニュースを見るたびに思うのですが、AIの世界は本当に動きが速くて、私たちが「すごい」と思った瞬間にはもう次の局面に進んでいることが多いです。だからこそ、SNSで見かけた情報をそのまま信じ込むのではなく、「これって今も本当にそうなのかな?」と一度立ち止まって確認する癖をつけておくと、振り回されずに済むと思います。パソコンのトラブルでも同じで、ネットの古い情報を信じて余計に時間がかかってしまうケースは、お店でも実際によくお見かけします。
ゲーム攻略や大規模なコード移行などの話は、誇張ではなく実際の発表・利用報告に基づいています。
2026年6月12日からアメリカ政府の指令により提供が停止されており、6月18日現在も復旧していません。
普段使っているAIサービスの大半は、今回の件とは関係なく通常どおり利用できます。
もしこのモデルが再開された、あるいは形を変えて新しく公開されたというニュースを見かけたら、ぜひこの記事のことを思い出していただいて、まずは公式の発表を確認してから試していただくのが安心だと思います。気になる新しいAIサービスの使い方や、ご自宅のパソコンでのAI活用について分からないことがあれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。














