本物のSamsung SSDに[FAKE]と出た — v9.9.2で取り下げられた「ラベル冤罪」
SSDの健康状態を確認しようとCrystalDiskInfoを開いたら、モデル名の横に[FAKE]。いや待ってください、これフリマアプリでもなんでもなく、ちゃんとした店で買ったやつなんですけど。……という通報が実際に成立してしまう不具合がありました。
しかも犯人は模造品ではありません。模造品を見つけるために追加された機能のほうです。この記事では、正規品に偽物の札が貼られてしまうこの現象を「ラベル冤罪」と呼ぶことにします。
2026年7月25日に公開されたv9.9.2で、この冤罪は取り下げられました。ただし取り下げられたことを知らないまま「うちのSSDは偽物だったのか」と落ち込んでいる方がまだいるはずなので、順を追って書いていきます。ピシコの本田です、よろしくお願いします。
先に結論
AMD RAID環境をお使いの場合、正規のSamsung製SSDに[FAKE]が付くことがありました。v9.9.2で修正済みです。
やることはひとつ。CrystalDiskInfoをv9.9.2以降に更新して、もう一度表示を見てください。それで[FAKE]が消えたなら、あなたのSSDは冤罪だったということになります。
何が起きていたのか
誤検出が起きていたのは、AMD RAID環境(RAIDXpert2)でSSDを接続している場合です。RyzenのPCでRAIDを組んでいる方、あるいはマザーボードの設定でRAIDモードのまま使っている方が該当します。ここに正規のSamsung製SSDをつなぐと、モデル名に[FAKE]が付いてしまうケースがありました。
なお「判定ロジックのどこがどう間違っていたのか」までは公表されていません。分かっているのは、この環境で起きていたこと、そしてv9.9.2で直ったこと。この2点です。原因の推測を書きたくなる場面ですが、そこは書けることの外側です。
一次情報
2026年7月25日にCrystalDiskInfoがv9.9.2へ更新され、AMD RAID環境(RAIDXpert2)において正規のSamsung製SSDへ誤って[FAKE]ラベルを設定してしまう不具合が修正されました。あわせてSamsung製エンタープライズSSDへの対応改善、High DPI環境における不具合の修正、言語ファイル(クロアチア語・韓国語・ベトナム語)の更新も行われています。
つまり、ドライブは最初から何も悪くなかったわけです。悪かったのは札の貼り方。それでも[FAKE]の4文字は破壊力があって、見た瞬間に返品ボタンを探しに行く気持ちはよく分かります。
店長より
表示を見て青ざめる気持ちはよく分かります。ただ、ここで慌てて返品や買い替えに走るのが一番もったいない。まずソフトのバージョンを見てください。それだけで片が付く可能性があります。
そもそも[FAKE]ラベルとは何なのか
[FAKE]は、2026年5月18日公開のv9.9.0で追加された比較的新しい機能です。Samsung製を謳う模造品のSSDが市場に出回っていることへの対応として、偽物と判定されたドライブのモデル名にこの札が付くようになりました。
機能そのものは歓迎すべきものです。速度を測ったり分解したりしなくても、いつも使っているソフトの画面で怪しさに気づける。模造品対策としては、これ以上ないくらい正しい置き場所だと思います。
一次情報
2026年5月18日公開のv9.9.0で、Samsung製を謳う模造品SSDの流通を受けて偽SSDのチェックロジックが導入されました。偽物と判定されると、モデル名に[FAKE]ラベルが追加されます。報道では、Samsung 990 PROに見せかけた製品を検出できるようになった点が紹介されています。
5月18日に登場して、7月25日に誤判定の修正。デビューから2カ月ちょっとで冤罪事件を起こしてしまった新人検事、という構図です。ただ、ここは擁護しておきたい。世の中に存在する全構成を事前に試すのは無理ですし、こういう機能は出してみないと分からない部分が必ず残ります。2カ月で直っただけ速いほうです。
一番の落とし穴は「v9.9.1」です
ここが今回いちばんお伝えしたい部分です。v9.9.0とv9.9.2のあいだには、v9.9.1というバージョンが挟まっています。
そしてv9.9.1の変更点は、東芝製SATA SSDへの対応改善と言語ファイルの更新。[FAKE]の誤判定には手が入っていません。つまりv9.9.1に上げただけの人は、まだ冤罪の真っ最中です。
ここ、見落としがちです
「更新はしました」ではなく「v9.9.2以降にしました」かどうかが分かれ目になります。少し前に更新した記憶がある方ほど危ない。ソフトの「ヘルプ」メニューからバージョン情報を開いて、末尾の数字が2以上になっているかを目で確認してください。9.9.1で止まっていたら、それは更新済みではありません。
「最新版にしてください」という案内が役に立たない典型例です。数字まで見ないと分からない。
[FAKE]は診断ではなく、推定です
少しだけ仕組みの話をさせてください。ここが分かると、ラベル冤罪が「起こりうるもの」として腑に落ちます。
CrystalDiskInfoは、ドライブに内蔵されたS.M.A.R.T.という自己診断の仕組みから情報を取得して、読みやすい形に並べ替えて見せるツールです。ドライブを開けてもいないし、性能を測ってもいない。ドライブ自身が名乗った内容を、整えて表示しているだけなんですね。
用語:S.M.A.R.T.とは
HDDやSSDに組み込まれている自己診断機能のことです。稼働時間、代替処理された領域の数、温度といった項目をドライブ自身が記録し、外部のソフトはそれを読み出して表示します。値をつくっているのはドライブ側で、ソフトは読み手であって測定者ではありません。健康状態が「正常」でも突然壊れることがあるのは、この構造のためです。
模造品の判定も、突き詰めれば同じ土俵の上にあります。名乗ってきた内容が本物らしいかどうかの照合。相手の申告を読んでいる以上、読み取り経路が変われば結果も揺れる。今回それが起きた場所が、たまたまAMD RAID環境だったという話です。
この話を広げていくと、ウイルス対策ソフトの検知はどうなんだ、バッテリーの劣化表示はどうなんだ、スマホの「ストレージがいっぱいです」は何を根拠に言っているんだ……と際限がなくなるので、このへんでやめておきます。危ない。
店長より
店頭でも「ソフトがこう言ってるんですけど」というご相談はよくいただきます。表示は手がかりであって、判決ではありません。ここだけ持ち帰っていただければ十分です。
[FAKE]が出たときにやること
✓
「ヘルプ」メニューからバージョン情報を開き、数字を確認する
✓
v9.9.2以降に更新して、もう一度表示を見る(9.9.1では直っていません)
✓
表示が消えたら冤罪。そのまま使い続けて問題ありません
✓
消えない場合は、Samsung純正の「Samsung Magician」でも真贋を確認する
✓
結論が出る前に、大事なデータのバックアップを先に取っておく
最後の項目だけは、本物でも偽物でも先にやっておいて損がありません。模造品のSSDは寿命が読めませんし、本物だったとしてもバックアップが無駄になることはない。真贋の答え合わせより、データの避難のほうが先です。
それと、更新作業そのものにも小さな罠があります。
更新のついでに踏みやすい落とし穴
インストーラー版には、開発支援のための広告アプリが同梱されています。既定で有効になっていますが、インストール中の画面でユーザー側が拒否できます。「次へ」を連打すると一緒に入ってくる仕組みなので、画面はきちんと読んでください。気になる方は、そもそも同梱のないZIP版を選ぶという手もあります。
よくいただく質問
Q
[FAKE]と表示されたら、本当に偽物のSSDということですか?
A
そうとは限りません。v9.9.2で、AMD RAID環境において正規のSamsung製SSDに誤って[FAKE]が付く不具合が修正されています。まずv9.9.2以降に更新して、表示が変わるかどうかを確認してください。
Q
更新しても[FAKE]表示が消えません。どうすればいいですか?
A
その場合は模造品の可能性も含めて確認が必要です。Samsung純正のユーティリティ「Samsung Magician」には真贋を確認する機能があり、正規品であればシリアル番号とあわせてその旨が表示されます。購入元の販売履歴も見直して、返品や返金の交渉材料を揃えておいてください。
Q
RAIDを使っていないのですが、私も関係ありますか?
A
今回修正された誤検出はAMD RAID環境で報告されたものなので、直接の影響は薄いと考えられます。ただ、模造品SSDが出回っていること自体は変わりません。更新しておいて損はありません。
ラベル冤罪が教えてくれること
今回の件をまとめると、こうなります。模造品を見つける機能が5月に追加され、7月にその誤判定が修正された。間に挟まったv9.9.1では直っていない。該当環境の方は、数字を確認してv9.9.2以降にする。以上です。
ただ、この記事で本当に持ち帰ってほしいのは手順のほうではありません。ラベル冤罪という言葉を、今日から頭の隅に置いておいてほしい。PCまわりの画面は、推定を断定の顔で出してきます。ディスクの健康状態、ウイルスの検知、バッテリーの劣化度。どれも「そう読めた」という報告であって、確定した事実ではない。
表示を疑いすぎる人も、信じすぎる人も、同じくらい損をします。ちょうどいい距離は、四文字のアルファベットに冤罪をかけられたSSDが教えてくれました。伝えたいことは書きました。
店長より
バージョン番号の確認も、Samsung Magicianの導入も、慣れていないと手が止まる作業です。画面を一緒に見ながらのほうが早い場面は多いので、詰まったら遠慮なく声をかけてください。
表示は手がかり。判決ではありません。
SSDの状態表示の見方が分からない、模造品や故障を疑っている。そんなときは、実機を見ながら一緒に確認しましょう。苫小牧のピシコで店頭診断を承っています。
まずはご相談から
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