
はじめに
当店のブログをいつも読んでくださっている方へ。このブログではパソコンの価格動向やIT関連の話題を定期的に取り上げています。今回もその流れの一記事ですので、すでにご存じの方は本文まで読み飛ばしていただいて大丈夫です。
はじめてこのページにたどり着いた方、ようこそいらっしゃいました。こちらは北海道苫小牧市でパソコン修理・サポートをしている「ピシコ」という小さなお店のブログです。日々の修理対応や価格調査で感じたことを、できるだけ分かりやすく書いています。どうぞゆっくり読んでいってください。
パソコンの価格、最近なんかじわじわ高くなってませんか?
「前に見た構成と同じものを選んだのに、なんか値段が違う気がする」そう感じたこと、ありませんか?
実はこれ、気のせいじゃないんです。当店では日々、主要なBTOパソコン販売サイトの価格を独自のツールで追い続けているのですが、ここ最近の値動きはちょっと無視できないレベルになってきています。今日はそのあたりを、初心者の方にも分かるように書いてみようと思います。
全体的に上がっているけど、部品によって差がある
まず大事なことをお伝えすると、パソコンのすべての部品が同じように高くなっているわけではありません。
ケース・電源・マザーボードあたりは、正直そこまで大きな変化はありません。多少の変動はあっても、比較的横ばいに近い印象です。
問題はメモリとSSDです。ここが、今のパソコン価格上昇のほぼ主役になっています。
DDR5メモリの価格変化
最大 約2.8倍
2025年4月→12月の実測値(32GB×2枚)
SSDの価格変化
1.5倍以上
2025年11月→12月の短期間での変化
これはPC Watchがまとめた秋葉原の相場データをもとにしています。製品・規格(DDR4かDDR5か、SSDの世代など)・容量によってかなり差があります。ただ全体として、安かった頃の感覚でパソコンを選ぼうとすると大きなズレが出てきます。
店長より
「メモリ16GBとSSD 1TBにしておきましょう」って、以前は気軽に言えたんですよね。でも今は、その一言で3〜4万円くらい変わってくることもある。なので最近は、お客さんの使い方をちゃんと聞いてから構成を一緒に考えるようにしています。
なんで急に高くなったの?原因はAI需要です
「円安だから」「輸送費が上がったから」という話はよく聞くと思います。たしかにそれも一因ではあります。でも今回の値上がりに関しては、もっと大きな理由があります。それが、AI向けの需要です。
ChatGPTをはじめとするAIサービスを動かすには、膨大なサーバーとデータセンターが必要です。そのサーバーには大量のメモリと高速なSSDが使われます。メーカー側としては利益率の高いサーバー向けを優先して生産するのは当然の流れで、結果として一般向けのPCパーツに回る分が少なくなっています。
IDCはこれを「単なる景気サイクルによる一時的な不足ではなく、世界のシリコンウェハー生産能力の戦略的な再配分」と表現しています。つまり、構造的な変化として起きているということです。
値上がりの流れをざっくり整理すると
1
AIサービスが急拡大 → 世界中でデータセンターへの投資が増える
2
Samsung・SK Hynix・Micronがサーバー向け(HBM等)生産を優先 → 一般向けの供給量が減る
3
一般向けのメモリ・SSDが品薄になる → 価格が大幅に上がる
4
メモリ・SSDを多く使うBTOパソコンの価格が上がる
業界調査機関のTrendForceによると、2026年第2四半期(4〜6月)の通常DRAMの契約価格は前四半期比で58〜63%上昇、NAND(SSDの基本部品)も70〜75%上昇する見込みとされています。
参考:TrendForce(2026年3月)
参考:TrendForce(2026年3月)
IDCの分析では、2026年のDRAM供給成長率は前年比16%、NANDは17%と、過去の平均を大きく下回る水準になる見込みとされています。需要に供給が追いつかない状況が続くということです。
参考:IDC「Global Memory Shortage Crisis」(2025年12月)
参考:IDC「Global Memory Shortage Crisis」(2025年12月)
実際のところ、どのくらい高くなってるの?
ざっくりとした感覚で言うと、「以前と同じような余裕ある構成」を選ぼうとすると、3万〜4万円ほど高くなっている可能性があります。
たとえばこんな構成で比べてみてください。
最低限の構成
CPU:Core i5相当
メモリ:16GB
SSD:500GB
軽い作業なら十分。長く使うには少し心配。
余裕ある構成
CPU:Core i7相当
メモリ:32GB
SSD:1TB
この差が今は 3〜4万円 になることも。
以前は「少し余裕を持たせておこう」という感覚で気軽に上位構成を選べていました。でも今は、メモリとSSDを増やす選択が、そのまま大きな価格差になって返ってきます。
なお、IDCはPC本体の平均販売価格が2026年中に4〜8%上昇する可能性があると見ています。「パーツが上がった分だけ本体も上がる」という流れは、すでに始まっています。
「もう少し待てば安くなる」は期待しにくい状況
メモリやSSDって、数年前まで「待てば安くなる部品」という印象がありませんでしたか? 実際、当時はそれが正しかったと思います。
でも今回は、少し様子が違います。SSDコントローラーの大手メーカー・Silicon Motionは、NANDの供給状況について「2027年はさらに悪化する」と見ており、データセンター向けへの優先配分が続く限り、一般向けのPCパーツがすぐに安くなるとは考えにくいです。
Silicon Motionの幹部は「2027年はNAND供給の観点から最悪の年になる。NANDメーカーはCSP(クラウド事業者)やデータセンターの需要が増え続けるため、そちらへの配分を優先せざるを得ない」と語っています。
参考:Tom’s Hardware(2026年6月)
参考:Tom’s Hardware(2026年6月)
Reutersも「AIによるチップインフレ(chipflation)がデータセンターから一般消費者向け製品にも波及している」と報じており、グローバルな問題として認識されています。
参考:Reuters(2026年6月)
参考:Reuters(2026年6月)
もちろん「絶対に下がらない」とは言い切れませんし、市場は常に動いています。ただ、少なくとも「数か月待てば大きく下がる」という読みは、今は難しいかなと思っています。
店長より
苫小牧でこういう話をしても「そんなに変わった?」と思われることが多いんですが、実際に日々価格を追っていると本当に変わっています。グローバルな供給の話が、ローカルなお店の価格にもちゃんと影響してくるんですよね。
じゃあ、今のパソコン選びはどうすればいい?
価格が上がっている今だからこそ、重要になるのが「どこにお金をかけるか」の見極めです。「とりあえず大容量にしておこう」という考え方が通じにくくなってきています。
使い方で変わる、おすすめの目安
メモリ16GB・SSD 500GBで十分な使い方
インターネット閲覧・メール・ネットショッピング・動画視聴・文書作成(Word・Excel)・写真の閲覧や軽い整理
メモリ32GB・SSD 1TB以上を検討したい使い方
動画編集・画像編集(Photoshopなど)・大量の写真管理・ゲーム・複数のソフトを同時に使う業務・仮想環境の使用
今は、この2つの構成で価格差がかなり開いています。用途に合わせて「必要なものを必要なだけ選ぶ」という意識が、以前よりずっと大事になってきています。
もし「自分にはどっちが必要?」と迷った場合は、一度ご相談ください。使い方を聞いて、一緒に考えます。無理に高い構成を勧めるようなことはしません。
結局、今って買い時なの?
正直に言います。必要な人は、今買った方がいいと思います。
「もう少し待てば下がるかも」という感覚は気持ちとして理解できますが、少なくとも短期間で大きく安くなる材料が今は見えません。数か月待った結果、さらに価格が上がっていたという可能性もあります。
特に以下のような状況の方は、早めに動いた方が後悔が少ないと思います。
✓
Windows 10からWindows 11への移行を考えている(2025年10月でWindows 10のサポートが終了済み)
✓
今使っているパソコンがもう5年以上経っていて、動作が遅くなってきた
✓
仕事で毎日使っていて、不具合が出るとすぐ困る環境にある
✓
業務用PCの更新タイミングを検討中
まとめ:昔の感覚でパソコンを選ぶと、ちょっと驚くかもしれません
今回の値上がりは、単なる一時的な価格変動ではなく、AIによるメモリとSSDの取り合いが根本にあります。当店で日々価格を追っていても、その影響はかなりはっきり出ています。
この記事のポイント
パソコンの値上がりは主にメモリとSSDが原因。DDR5メモリは規格・容量によって最大約2.8倍(2025年4〜12月)
原因はAI需要。Samsung・SK Hynix・Micronがサーバー向け生産を優先し、一般PC向けの供給が減っている
同じ構成を選ぶと以前より3〜4万円高くなる可能性がある
NANDの供給はむしろ2027年にかけてさらに悪化する見込みで、「待てば安くなる」は通じにくい
今後は「使い方に合わせた容量の見極め」がより重要になる
パソコンの価格はニュースだけ見ていると分かりにくい部分もありますが、実際に日々追っていると「どこが上がっていてどこは横ばいか」が見えてきます。購入を考えている方は、ぜひ一度ご相談ください。
まずはご相談から
「自分の使い方だとどんな構成がいい?」「今の相場感は?」など、パソコン選びに関するご相談はお気軽にどうぞ。無理に高い構成を勧めることはしませんので、用途に合わせた提案をさせていただきます。
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